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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十六話 温もりと殺人鬼の瞳に映るモノ
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けど」
「ハァ?彼奴……」
イラつくように一瞬眉間にしわを寄せた闇風はしかし、すぐに真顔に戻ると深々と溜息をついた。

「まぁ、良いわ。そんなにあたしとやるのが嫌だってんなら、こっちから出向いてやるだけよ」
「えーと……そう簡単じゃないと思いますけどね」
頬を掻きつつ笑いながら言ったキリトに、闇風はフンッと笑って返した。

「そうかもね……SAO攻略組、ソロプレイヤー……勇者こと《黒の剣士》、キリトさん?」
「あはは……どうでも良いですけど俺の肩書大仰過ぎになってる気が……」
言っているキリトは少し苦笑気味だ。と、その表情が、唐突に真顔に戻り、直後に二ヤッと笑った。

「まぁでも、俺も油断出来る相手じゃないですしね、何しろあの《食材屋》が相手ですから」
「へー……知ってたんだ?」
「兄貴から聞きましたよ。先輩のあの世界での名前……どんな高難易度ダンジョンだろうと、クエストだろうと必ず一人で美味い食材を取りに行く《実力派食材屋》……アウィンさん」
「その名前で呼ばれるのも久しぶりかもね……」
そう。闇風こと、風巻杏奈はあの世界に置いて、《食材屋》をやっていた。上層階でとれる美味な食材を、下層や中層へと届ける、食の配達人。その実力は最上層部のダンジョンですら単独でもぐりこめるほどで、稀有な立ち位置に居ながら、短剣使いとしてはSAOでも指折りの猛者だったのだ。

「ま、昔の話よ」
「その言葉がもっと前に聞けたら、油断出来たんだけどなぁ……」
先程の闇風の動き。斬りつけた瞬間に腰のコンバットナイフで防いだ時のあのスピードは、間違い無く現役のそれだった。それは、《食材屋》は衰えてなどいないと言う証明だ。

「そぉ?さて、それじゃお喋りはこのくらいにして……始めましょうか?なんでシノンと貴方が共闘してるのかは知らないけど」
「あー、気付きますか……」
ちなみに彼女、この世界に置いては数少ないシノンの女性の知り合いの一人でもある。先程の弾丸がシノンであると言う事を見分ける程度は造作も無い話だった。SAOプレイヤーが剣筋でプレイヤーを見分けるのと、それほど違いは無い。

「二人纏めて相手してあげるから、掛かってきなさい!」
「それじゃ遠慮なく……後輩として、先輩を超えさせていただきますよ」
「生意気は勝ってから言うのね!!」
笑いながら言った闇風が、引き金に手を掛けた。それを見ながら、キリトは光剣を正眼に構えて二ヤッと笑う。

「……勝つから言うんですよ!」
銃声が高らかに、廃ビルの立ち並ぶ通りに響いた。


「おっと!?」
「Ya-Ha-!」
銀閃の尾を引きながら迫ってくる肉厚の刃を、リョウは危うい所で自身の右側に反らす。火花を散らしながら体のすぐ横を通り抜けたナイフを視界の端に捕えつつも、次は正面
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