34*お姫様の苦悩
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様、どうしましょう?」
「見ているしか、方法はないな。正直、もう全てを忘れて眠りたい」
「……もう完全に私達はあの世界の外にいますから、大丈夫じゃないですか?」
「……すると明日の朝、私が鮮血の剛腕の餌食となる可能性が出て来る」
つまり、私達にはこの話を聞き続けるしか逃げ道はないのだ。
「いい、シルバ。愛とはとっても重いのよ。そしてその愛を、いきなり毎日毎日四六時中周りの目を気にせずに与え続けるとどうなると思う?」
「え?……それは…皆にも私が…」
「違うわよシルバちゃん。でもその気持ちはよくわかるわ。私達も最初は、周りにも認められる程のまだ結婚していなかったのに夫婦と言われる程に一緒にいて、愛を与え続けたわ」
「でもね……あれは忘れもしない、15歳の時……いきなりガルクが……私のもとからいなくなったの」
「私も同じよ。最初は本当に消えたのではないの、ただ……目の前にいるのに、私を見てくれなくなったの……」
「あまりに重い愛が、負担になりすぎて、それを避けるように私達を避け、会話もしてくれなくて、触る事すら許されない……あの時は、本当に自殺を考える程の生き地獄だったわ」
「結局、離れるのが恐くて自殺もできずに、毎日会いにいってたわ。昔の幸せに戻るために」
「だけどそんな私達を置いてある日、彼は急にいなくなったの」
「私達を置いて、どこかに消えたと知ったときはもう自殺なんて考えられない程の絶望感と喪失感に苛まれていたわ」
「そして私達は残った彼の荷物を抱えながら、毎日泣いて神に祈ったわ。彼を返してって。そしたらある日突然彼は帰って来たの。日が落ちて、紫色をした西の空に星がちらほら見えるような時間に、夕日を背に悠々と」
「ええ、そしてそんな彼に私は泣いて足に縋り付きながら叫んだわ、“私を捨てないで!置いていかないで!!”って」
「そうしたら、彼は優しく私の頭を撫でて、抱きしめてくれたの」
「そして言ってくれたのよ、『君の愛は一度に持つには重過ぎる。だから、これからは節度をわきまえ、少し周りも気にしながら俺を愛してくれないか。そうすれば、俺も変わらぬ愛を君に捧げよう』って」
「それを聞いた私達は、もうわんわん喚きながらそれを承諾したわ。そんな私を彼は抱き抱えて、彼の部屋まで運んでくれたの」
「そして静かに私をおろして、優しく布団をかけて、『今までごめんね。俺のために、辛かっただろうに。疲れただろう?ずっと一緒にいるから、安心しておやすみ』って言いながら、そっと手を握ってくれたの」
「そして次の日に起きたら、まだしっかりと手を握っていてくれたの。本当にずっと一緒にいてくれて、その時もあまりに嬉しくて、また大声で泣いたのを覚えているわ」
「その泣き
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