ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
来訪者
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砂漠の果てを横薙ぎにスキャンし、足跡が無いことを確かめると振り返って奥に入って行った。
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「どうだ?」
「異常なし。ま、アイツらも派手に吹っ飛ばしてやったし、しばらくは仕掛けて来ないサ」
空気が暗かったので、おどけた調子で答えたが、両者ともにノーリアクション。
眉間繰り抜いたろか。
無言のまま数分が過ぎ、キリトが沈黙を破った。
「……レイ、そろそろ行こう。シノンはここで、もう少し休んでいるといい。本当はログアウトして欲しいけど……大会中は出来ないもんな……」
「え……」
シノンが驚いたように顔を上げる。俺はその目に驚きと、恐怖、そして寂しさを感じた。
(……メンタル面のケアか……。俺の最も苦手な分野だな)
《Yui》の基幹プログラムを組んだ時に興味本位でちょこっとかじって投げた覚えがある。
「……まだ、戦うの?」
「ああ。あいつは強い。あの黒い拳銃の力なんかなくても、それ以外の装備やステータス、何よりプレイヤー自信の力が突き出ている。あの銃を向けられたら、正直、逃げない自信が無いな」
「自信が無いことをハッキリ言うなよ……。そういう訳だから君をこれ以上付き合わせられない。いくら俺達が強くとも、『守りながら』の戦いはジンクス的にも縁起が悪い」
キリトは一瞬目を閉じると、真剣な表情で同意を示した。
「……あなた達でも、あいつが恐いの?」
「ああ、恐いさ。《死銃》1人ならともかく、もう1人居たなんて不覚だ。もう1人も殺す力を持っているとしたら……」
「1人倒した隙にこっちが殺られる。……俺はまだ死ぬわけにはいかない。やらなきゃいけない事があるからな」
「俺も、守りたいものが、色々出来たからな。死ぬわけにはいかない」
レイもその言葉に微笑して頷き、しゃがむとシノンの顔を覗き込む。
「シノン」
その声は先程までとは違う、暖かな、優しい響きだった。
「君は心に闇を持っている。俺達にはそれが何なのかは分からない。訊こうとも思わない。君は、それに悩んで、苦しんで、辛かっただろう。……でも、俺が思うに君はソレと向き合えるんじゃないかな?」
「え……?」
「君はそれでも『今この瞬間』を生きている。それが答えなんじゃないかな?闇を消すのが『強さ』じゃない。抗い、立ち向かった瞬間、それが真の『強さ』だよ。さあ、君はどうして今、戦っているんだい?」
言葉の余韻が消え、辺りが静寂に戻った。
シノンが震える唇を開け、答えようとした、その刹那―――、
『緊急警告:宇宙生物接近中。ISLラグナレク上陸まで後30分。個体名:
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