第十四話 一パーセントなんだけどなぁ
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決したかのように声を出す。
「甘いな」
闘悟はそれを指二本で真剣白刃(しらは)取りを行い、そのまま力任せに捻(ひね)り剣を折る。
カランと折れた刃が落ちる。
「なっ!?」
ミラニは声を張り上げる。
闘悟はすかさず背後に回り込み、彼女の後ろ首を掴(つか)む。
ミラニはそれに気づき抜け出そうとするが体が動かない。
「動けないだろ? こんなふうに完全に決まればもう終わりだ」
ミラニの額から大粒の汗が落ちる。
気が付けば、自分は今にも倒れそうなほど息を乱している。
しかし、闘悟は準備運動でもするかのような感じで大いに余力を残している。
次元が違う。
そう思ってしまったのは、決して彼女のせいではなかった。
それだけ闘悟の強さが異質過ぎたからだ。
彼女はゆっくりと目を閉じた。
「…………ま……まいった……」
闘悟はその言葉を聞き首から手を離した。
すると、その様子を見ていたギルバニアが正気に戻ったように声を出す。
「そ、それまで!」
ま、こんなもんかな。
闘悟は首を掴んでいた手をひらひらさせた。
「す……すごい……です」
クィルが呟くように言う。
周りの人達も何かブツブツ言っている。
ミラニは未だに負けたことが理解できていないのか、落ちた剣の一部を呆然と見つめている。
「この勝負、トーゴの勝利だ!」
ギルバニアの声にようやく気づいたのか、ミラニがこちらに視線を向ける。
「よ、ケガは無いはずだけど、大丈夫か?」
すると、顔を俯(うつむ)かせて震え出した。
「ん? ど、どうしたんだ?」
「……んだ」
「はい?」
「何だ!」
「はあ?」
いきなり詰め寄って来た。
他の者もミラニの行動に目を見張っている。
「だから、それは何だ!」
「そ、それって?」
「だから、その魔力だっ!」
ミラニは闘悟を指差しながら言い放つ。
魔力? 何かおかしいのか?
「魔力って……何が?」
すると、今度はギルバニアが横に入ってくる。
「量だよ量」
「量?」
「そうだ。異常過ぎるぞ、お前の魔力量は」
あれ? そんなに多いのか?
これでも一パーセント程度に抑えたはずなんだけど?
「ま、まさかそれは全力じゃないのか?」
「はい。全体の一パーセントくらいです」
それが何か?
あ、そう言えばトビラもオレの魔力量は異常みたいなこと言ってたっけか?
「い、一パーセントォッ!?」
その場にいた全員がそれぞれに声を上げる。
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