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トーゴの異世界無双
第十三話 武器? いらねえけど?
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 練技場へ向けて歩いていると、こちらに向かって来る足音が聞こえた。


「クィル様!」


 ミラニの目に映ったのはクィルだった。
 どうやら彼女は慌ててやってきたみたいで、大きく肩で息をしている。


「どうしたんだクィル?」


 ギルバニアが不思議そうに尋ねる。


「お、お父様」


 クィルは深呼吸をして自身を落ち着かせる。


「ふう、い、いきなり申し訳ありませんです」
「それは構わんが、一体どうした? パムに何かあったのか?」


 パムというのはクィルのペットらしい。
 パムは病気にかかり、その病気を治すために彼女は森にいた。
 ようやく闘悟のお蔭で、薬となる植物を手に入れて、この宮殿に帰って来た。


「い、いいえ、パムは……パムはもう大丈夫なのです!」


 その言葉にその場にいた全員が微笑む。
 どうやら、皆がそのパムの身を案じていたらしい。
 無事と分かって安堵したんだろう。
 クィルの笑顔を見て、皆が嬉しそうだ。
 闘悟も本当に間に合って良かったと思った。
 クィルは闘悟の存在に気づいたのかこちらを向いた。


「ト、トーゴ様!」
「よ!」
「本当に……本当にありがとうございますです!」


 何度も何度も頭を下げてくる。
 その目には涙も浮かんでいる。
 それだけパムが大切なんだろう。
 だけど、そんなクィルの様子を見て、またミラニがこちらを睨んでくる。
 その視線に苦笑しながら闘悟はクィルに言葉を掛ける。


「き、気にすんなって。だからもう頭を上げてくれ! 視線がいろいろ痛いから!」
「あ、も、申し訳ありませんです!」


 だから頭を下げるなっての……王女からそう何度もそんな態度をとられると、後々面倒になる。


「ふむ、俺からも礼を言おう。クィルとパムの命を救ってくれて感謝するぞトーゴ」


 おいおい! 国王までも頭下げんなっての!
 ほらほら、ミラニが今にも殺しそうな勢いで殺気を飛ばしてくるんだけど?
 すると、顔を上げたギルバニアがニヤッと笑う。
 コ、コイツ! まさかわざとかよ! とんでもねえやんちゃ国王だ!
 ベアンもジト目でギルバニアを見る。
 どうやらベアンは彼の企みに気づいてるみたいだ。
 闘悟とベアンは互いに溜め息を漏らす。
 すると、クィルが周りを見て首を傾げる。


「と、ところで皆さん、どちらへ行かれるのですか?」


 その問いにはベアンが説明をする。


「わ、私もお供してもよろしいでしょうか?」


 クィルの提案に首を横に振る者はいなかった。
 別に殺し合いじゃないからな。
 いや、殺し合いに…………ならなければいいんだけど
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