第十三話 武器? いらねえけど?
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
練技場へ向けて歩いていると、こちらに向かって来る足音が聞こえた。
「クィル様!」
ミラニの目に映ったのはクィルだった。
どうやら彼女は慌ててやってきたみたいで、大きく肩で息をしている。
「どうしたんだクィル?」
ギルバニアが不思議そうに尋ねる。
「お、お父様」
クィルは深呼吸をして自身を落ち着かせる。
「ふう、い、いきなり申し訳ありませんです」
「それは構わんが、一体どうした? パムに何かあったのか?」
パムというのはクィルのペットらしい。
パムは病気にかかり、その病気を治すために彼女は森にいた。
ようやく闘悟のお蔭で、薬となる植物を手に入れて、この宮殿に帰って来た。
「い、いいえ、パムは……パムはもう大丈夫なのです!」
その言葉にその場にいた全員が微笑む。
どうやら、皆がそのパムの身を案じていたらしい。
無事と分かって安堵したんだろう。
クィルの笑顔を見て、皆が嬉しそうだ。
闘悟も本当に間に合って良かったと思った。
クィルは闘悟の存在に気づいたのかこちらを向いた。
「ト、トーゴ様!」
「よ!」
「本当に……本当にありがとうございますです!」
何度も何度も頭を下げてくる。
その目には涙も浮かんでいる。
それだけパムが大切なんだろう。
だけど、そんなクィルの様子を見て、またミラニがこちらを睨んでくる。
その視線に苦笑しながら闘悟はクィルに言葉を掛ける。
「き、気にすんなって。だからもう頭を上げてくれ! 視線がいろいろ痛いから!」
「あ、も、申し訳ありませんです!」
だから頭を下げるなっての……王女からそう何度もそんな態度をとられると、後々面倒になる。
「ふむ、俺からも礼を言おう。クィルとパムの命を救ってくれて感謝するぞトーゴ」
おいおい! 国王までも頭下げんなっての!
ほらほら、ミラニが今にも殺しそうな勢いで殺気を飛ばしてくるんだけど?
すると、顔を上げたギルバニアがニヤッと笑う。
コ、コイツ! まさかわざとかよ! とんでもねえやんちゃ国王だ!
ベアンもジト目でギルバニアを見る。
どうやらベアンは彼の企みに気づいてるみたいだ。
闘悟とベアンは互いに溜め息を漏らす。
すると、クィルが周りを見て首を傾げる。
「と、ところで皆さん、どちらへ行かれるのですか?」
その問いにはベアンが説明をする。
「わ、私もお供してもよろしいでしょうか?」
クィルの提案に首を横に振る者はいなかった。
別に殺し合いじゃないからな。
いや、殺し合いに…………ならなければいいんだけど
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ