第十話
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続ける。
その数秒後、白髪をした少女が勢いよくスキマから飛び出してきた。
「妖夢!」
「俊司さん!!」
少女は俊司を見つけると、喜びのあまりわれを忘れて俊司に抱きついた。
「よ……妖夢?」
「よかった……ほんとに……よかった……」
余程心配していたのか、妖夢は無意識に俊司を強くだきしめていた。俊司は突然過ぎて戸惑いながらも、妖夢の気持ちをひしひしと感じ取っていた。
「……ごめんな」
「ほんと……心配させるんだから」
俊司が妖夢の頭をポンポンと叩いていると、紫が話しかけてきた。
「紫……わるい」
「あやまらなくてもいいのよ。あなたのおかげで他の人が助かってるんだから」
「……ありがとう」
「紫様……」
「!?」
紫は話しかけられた瞬間、自分の耳を疑っていた。
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには見覚えのある二人の式が、申し訳なさそうな顔をしたまま立っていた。
「藍……橙……」
「ご無事だったんですね……紫様……」
藍はそう言って安堵の表情を浮かべていた。
だが、紫は急に表情をこわばらせると、ゆっくりと藍のもとに歩み寄った。
「ゆ……紫……様?」
「……」
紫はなにもしゃべろうとはしなかったが、
「っ!?」
思いっきり藍の頬をビンタした。
「なにがご無事だったんですねよ!! あれだけ勝手なことをしておいて、挙句の果てに捕まっては……どれだけ心配したの思ってるの!?」
「……」
「紫しゃま……」
「もし死んでたらどうするの!? 捕まってから変なことされてたらどうするの!? ちゃんと自分の身のことも考えなさいよ!!」
「……すいません……でした」
藍はそう言うと、深々と頭を下げていた。
よかれと思ってやっていたことでも、心配をかけてしまったことは事実だった。ましてや、一歩間違えれば自分と橙二人の命を失うこともありえた。紫に怒られるのは当たり前だと、藍は思っていた。
「顔をあげなさい」
「……」
藍は何も言わずに顔を上げる。
「!?」
その瞬間、紫はそっと藍を抱きしめた。
「無事でよかったわ……藍」
「紫様……」
「でも、これからはきちんと考えて行動しなさい。あなたは式でも……大切な仲間よ」
「……はい」
藍は小さな声で返事を返すと、軽く涙を流していた。
「ほほえましいわね〜」
「あはは」
その光景を俊司たちは温かい目で見ていた。
「さて、脱出したのは俊司君と藍・橙。そしてメイドさんと守矢の巫女さん
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