第九話
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「俊司さん……無事なんでしょうか……」
「どうでしょうかね?」
「はうっ!?」
突然後ろから声をかけられ、妖夢は思わず飛び上がってしまった。
恐る恐る振り返ると、そこには苦笑いをした月の兎が立っていた。
「鈴仙さん……脅かさないでくださいよ」
「すいません。当番でもないのに起きてらしたので、どうなさったのかと」
そう言いながら、鈴仙は妖夢の隣に座った。
「無事だと……いいですね」
「そうですね。ですが、レミリアさんも捕まっただけだとおっしゃってましたし……早く助け出しに行きたいんですが……紫様もまだわからないとおっしゃってましたし……」
そう言って二人は同時に溜息をついていた。
「なんか……奇跡でも起きませんかね?」
「そうですね……」
二人は冗談半分でそんなことを言いながら笑う。
そんなときだった。
「ん……何か聞こえませんか?」
「え……そういえば……」
近くで電子音のようなものがかすかに聞こえていた。だがあたりを見渡しても何もない。
不振に思った二人はおそらく部屋の中だろうと考え、探索を始めた。
数分後
「ここは……」
ある程度探し終えた二人は、音が聞こえてくる部屋の前に立っていた。
「俊司さんの……部屋ですね」
「……行きましょう」
そう言って二人はふすまを開く。
すると、目の前にあった机の上に、光を放ちながら音を出す物体が目に入った。
「これ……俊司さんの携帯ですよね」
「そうですね」
妖夢は俊司の携帯を手に取ると、画面を見る。そこには通話と書かれた文字と、いくつかの数字が並んでいた。
「通話? でも……おかしいなぁ」
通話ができるのは文が持っている携帯だけのはずだった。
妖夢は改造された携帯の仕組みをにとり少しだけ教えてもらっていたが、これ以外に携帯が存在しない限りには、通話はかかってこないとのことだった。
だが、目の前の画面には通話の文字が書かれている。
「文さんが寝ぼけてかけてるんですかね?」
「どうですかね……とりあえず……出てみますね」
にとりに話を聞いたときに操作方法も軽く教えてもらっていた妖夢は、少し不安になりながらも通話のボタンを押した。
「……もしもし」
恐る恐る声を出す妖夢。
その数秒後、彼女は自分の耳を疑った。
「その声は……妖夢か!?」
「えっ……俊司……さん? 俊司さん!?」
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