第九話
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ではないため、ここにとどまるのも安全とは言い切れなかった。
「どうすべきか……あっ……もしかして……」
俊司は何かを思い出したかのように、ポケットからあるものを取り出した。
「それ……あの子の……」
「あっ……懐かしいなぁ……携帯電話」
「はい。もしかしたらこれで……紫達と連絡が取れるかも知れません」
「ほんとか!?」
「はい。確実ではありませんが……」
「……それは……どうして?」
咲夜がそう問いかけると、俊司はわかりやすいように説明をはじめた。
「俺の携帯と文が持っていた携帯は、おそらくですがにとりが改造を加えていたと思います。ほんとうなら、電波を受信する施設が必要になるので使えないんですよ」
「確かに……ここなら圏外ですよね」
「はい。ですが、改造をほどこされているのなら、どうやってその電波を受信できてるのかが疑問になりまして……仮説を立てたんです」
「仮説?」
「電波を直接受信するようになっていたら……と思いまして」
ようするに、俊司は特別な施設がなくても、互いに電波を受信できるようになっているかもしれないと言うのだ。だが、それだけでは連絡を取ることはできない。
俊司はさらに詳しく説明していった。
「それだけじゃなくて、携帯自体がその施設の代わりを果たしている。もしくは、にとりがそれと同等の装置を作成していれば…つながる可能性があります」
「なるほど……だから確実じゃないのね?」
「そういうことです。もしだめだったら……この携帯に圏外の文字が書かれてるはずです」
そう言って俊司は恐る恐る携帯を開く。
その瞬間、俊司から安堵のため息が漏れた。
「どうだったの?」
「奇跡的に……一本たってます」
「おお! それは奇跡的ですね!」
携帯を知っている早苗だけが反応していた。
「えっと……それはどういうこと?」
「つながる……と思います」
俊司は苦笑いをしながらそう言った。
同時刻 永遠亭
「……眠れない」
この日、妖夢はなかなか寝付けなかったのか、中庭で風に当たっていた。
昼間は幽々子の指導で立ち回りの強化など、修行を行っている。そのためか、疲労がたまってしまい、修行を終えてから眠ることが多かった。夜になって寝付けないのはそのためだろう。
他の人達はよく眠っているのか、明かりがついた部屋はまったくなかった。もちろん、万が一にそなえておきている人もいるが、ずっと外を歩いているわけではない。
静寂に包まれながら、妖夢は一人思い悩んでいた。
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