第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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二人の様子に、桜は『やれやれ』と肩を竦めてみせる。
「っもうっ、仕方がないですね。なら四人でしましょうか」
「「何言ってんのあんたっ?!」あなたはっ?!」
朗らかに笑いながらとんでもないことを宣う桜に、凛とルヴィアが声を合わせ突っ込む。
「何が『なら』なのよっ!! どうしてあなたはこうっ! ああっ! もうっ! 何なのよあんたはっ!!」
「どうしていきなりそんな話になるのですかっ!! 前々から油断ならない方だと思っていましたが、もうそう言った次元の話じゃありませんわよっ!!」
「全くもう、何をそう興奮しているんですか姉さん達は? 私はただ、そんなに文句を言うのなら、もういっそ全員でやりましょうと言っているだけじゃないですか。大丈夫ですよ士郎さんなら。士郎さんの実力なら、私たち四人でも足りないぐらいなんですから」
「そんな心配はしちゃいないわよっ!!」
「そんなことは、とうの前から知っていますわよっ!!」
ぎゃあぎゃあと今にも掴みかかってきそうな雰囲気で声を上げる二人を見て、桜は『まあまあ』と両手で迫る二人を押さえた後、白く長い人差し指を自身の唇に当てる。そしてにっこりと可愛らしくも妖艶な笑みを浮かべた。
「ふふふ……そんなに恥ずかしがらなくても……四人でするのは初めてってわけでもないじゃないですか」
「っそ、それはっ?!」
「さ、サクラ、あ、あなたと言う人は……っ?!」
桜のとんでも発言に、凛とルヴィアは顔を真っ赤に染め上げ後ずさった。しかし、後ずさる二人を追うように、士郎から手を離した桜が距離を詰め寄る。にこにこと目を細め二人に近づく桜の微かに開いた目が、淫蕩に暗く輝いていた。
逃げるように下がる二人の顔が、怯えるように震えている。
「あらあら、何を怯えているんですか二人共?」
「お、おお怯えてなんかいないわよっ」
「な、なな、なな何を言っているのかしら?」
部屋の隅に追い詰められた二人は、恐怖でヒクつく笑みを浮かべている。
「このメンバーでするのは久しぶりですね。大丈夫です。こういうこともあろうかと、色々と道具を用意していますから」
「「道具って何っ?!」ですか?!」
仲が悪いはずの二人が、互いに寄り添い仲良く悲鳴を上げた瞬間。
「士郎はいるかいっ!!」
「蒔の字、チャイムも押さずに入るのは正直どうかと思うぞ」
「もう蒔ちゃんったら、もう少し落ち着こうよ」
スパンと障子が開き、中から三人の女性が飛び込んできた。
一人は健康的な褐色の肌の二十代半ばの女性。Tシャツにジーパンとラフな服装から覗くスラリとした手足には、しなやかな筋肉が程よくつき引き締まり健康的な色気に溢れていた。肩まで伸びた黒髪が、身体の動きに合わせ活発に動いている
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