第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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「オホホホホッ!!! シェロの何処に嫌がっている様子が見えますのっ!!?」
「明らかに死に体じゃないそれっ!! さっきからピクリとも動いてないわよっ!! いいから放しなさいっ!!」
士郎の身体をルヴィアの胸から引きずり出した凛は、そのまま士郎の体を背後に放り投げる。畳の上落ちた瞬間、鈍い音が聞こえた気がしたが、凛は振り返ることなくルヴィアを睨みつけていた。
「何をするの!! さっさとシェロを寄こしなさいっ!!」
「何であんたに士郎を渡さなきゃなんないのよっ!! 全く、食事中に上がり込むなんて常識がないんじゃないのっ!!」
「食事中? ああ、そのテーブルの上にある貧相なものが朝食ですか?」
「……貧相……ねぇ……そういうことは食べてから言いなさいよっ!!」
蔑むような目でテーブルの上に並べられた料理を見下ろしていたルヴィアに、凛は邪悪な笑みを浮かべると、とある皿を掴みルヴィアの前に突きつけた。
「何ですかこれ? まさか食べろとあなたは言うのですか?」
「ええその通りよ。文句を言うなら、食べてから言いなさいよ」
皿を突きつけ吠える凛に、むっと押されたように一瞬黙り込んだルヴィアだったが、負けてたまるかと不敵な笑みを向けた。皿に添えられていた箸を掴むと、皿の上に乗っている料理を掴み、それを口に運ぶ。
「ん……く……ん……っ……やっぱり貧相ですわね。ゴムのように固くて、生臭い……酷く不味いですわね……何ですのこれは?」
白いハンカチで口元を吹きながら、ルヴィアは凛を睨みつける。
凛は睨みつけてくるルヴィアをふふんっと鼻で笑うと、にやにやと笑いながら口を開いた。
「オットセイの○ニスよ」
「っばふっ!!」
爆発したように吹き出したルヴィアは、その勢いのまま畳に手を着くと、激しくむせ始めた。
「っゲホッゲホッ!!? っ……なっ何ていうものを食べさせるのですあなたはっ!!」
「あ〜ら、高貴なお貴族さまにはちょっとばかり刺激的だったかしら」
憤怒に顔を歪ませたルヴィアが、顔を上げ、にやにやと笑い見下ろしてくる凛を睨み付ける。
「刺激的とかそういう話じゃありませんわっ! 一体全体どうして朝食にこんなものが出るのですかっ!!?」
「私が知るかぁッ!!」
怒鳴りつけてくるルヴィアを逆に怒鳴りつける凛。
「何であなたが怒るのですかっ!?!」
「私だって知らなかったのよっ!! 何で朝食にオットセイのペニ○を食わにゃあいかんのよッ?!」
「……あなたも食べたのですか」
涙目で叫ぶ凛に、怒りで頭に上っていた血が少し落ち、ルヴィアはその分冷静さを取り戻した。凛はぷるぷると身体を震わせながら、地団駄を踏み叫ぶ。
「そうよっ!! これだけじゃないわよっ!!
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