第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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でそんなものが朝食に出てるのかっ? 何でそんなものを食べさせるのかって聞いてんのよっ!?」
「何でって決まってるじゃないですか。士郎さんが帰ってくるのって久しぶりですし……何時また出て行くか分からないですし……やれる時にやらなくちゃ……って、何言わせるんですか姉さんっ。もう、恥ずかしいなぁ……」
「そんなんで恥ずかしがる奴が朝食にオットセイのペ○ス何か出すんじゃないわ〜っ!!」
「それだけじゃないですよ?」
え? 何言ってんの? みたいな顔で首を傾げた桜は、は? と唖然とした顔をする凛の前で、テーブルに並べられた皿を一つ一つ指差しながら説明を始めた。
「えっとですね、これが蠍の天ぷらで、こっちは蜂の子の甘露煮。で、ちょっと高かったんですけど、、これが冬虫夏草のスープ。他にもこれが――」
「ストップ」
「何ですか姉さん?」
「桜……もしかして今日の朝食って全部……」
凛の恐る恐るとした、怖いけど聞かなくてはといった体の問いかけに、桜は目をキラキラと輝かせながらうんうんと頷いて見せた。
「はいっ!! 精力増強に効果抜群ですっ!! 漢方薬のお店の人も、『これを食べれば百歳のじじぃでも鉄の棒のようにカチンコチンだっ!!』って言ってましたっ!!」
「あんたは何がしたいのよっ!!!??」
髪を振り乱し、凛が絶叫を上げると、桜は一度きょとんとした顔になると、ああっ! とぽんと手を叩き、優しく凛に笑い掛けた。
「心配しなくても、仲間はずれなんかにしませんよ。もちろん姉さんも一緒です。既に準備は整っていますっ!! 食事が終わったらそのままわたしの部屋に直行ですっ!!」
「なっななんあっ……何言ってるのよあんたっ!!?」
「もうっ姉さんったら。別に三人でするのは初めてじゃないんですから……そんなに恥ずかしがらなくても」
「そ・う・い・う・問題じゃないでしょっ!!」
地団駄を踏み、凛は畳を揺らしながら叫ぶ。
「士郎も何か言ってやりなさいっ!? ……士郎? 士郎?」
「あれ士郎さん?」
後ろを振り向いて士郎にも桜に何かを言わせようとした凛だったが、視線の先には後ろでむせていた筈の士郎の姿がなかった。
桜も同じように首を左右に振り士郎の姿を探していると、
「……何やっているの衛宮くん?」
「……何処に行くつもりですか先輩?」
ほふく前進で進んだのか、縁側に続く障子の前でうつ伏せの状態で、手を障子に伸ばした状態の士郎がいた。
士郎は背中に突き刺さる二つの視線に気付き、凍りついたように動きを止めていた。
二人の恐ろしい程平坦な声に、ゆっくりと振り返った士郎は、頼りない障子を背にするように身体を動かした。
「お、落ち着け二人共」
「変なことを言うわね」
「そうね姉さん
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