第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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るじゃないですか。そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
「あ、あははは……そ、そうよね……冗談よね」
「ま、全くびっくりさせるな桜は……」
安堵に膝を着きたくなる二人を尻目に、くるりとエプロンを翻し背中を向けた桜が、居間に向かってある始めた。士郎と凛の二人は、そんな桜の後を付けるように、歩きだそうとしたが、
「ああそうそう……二人共……後でお話がありますので、食事の後わたしの部屋に来てくださいね」
立ち止まり顔だけ振り向いた桜の言葉に、再度足を止め固まる。
「……来ないと……本当に食べちゃいますよ」
可愛らしく小首を傾げ笑いかける桜の白い肌に、黒い何かが映ったのを、かたかたと小動物のように震える二人は確かに見たのだった。
「おかわり」
「はいどうぞ」
「士郎、あれとって」
「ほら」
「ありがと」
「桜、それとってくれないか?」
「はいどうぞ」
「サンキュ」
広い居間に置かれたテーブルには、今三人の姿があった。
その十人は囲めるテーブルに、士郎を挟むように座る凛と桜は、手馴れた手つきでそれぞれの声に答え、食事を勧めている。時折会話をしながら食事をとっていた士郎が、不意に箸を止めると、首を傾げた。
「ん〜……なあ桜。これ何の肉なんだ?」
「え? どれですか?」
「これだ。何処かで食べた記憶はあるんだけど……ちょっと思い出せなくてな。他のも、何処かで食べた記憶があるんだけど……名前が出てこなくてな」
士郎が指差すのは、ズラリと並んだオカズの中の一つだった。自身も料理をし、数多くの料理を食材を知る身であるが、あまり覚えのない味に、その料理を作った桜に問いかける。
「ん……どれどれ? ちょっと食べさせて」
士郎の横から箸を伸ばした凛は、士郎が指差す料理を端で掴むとパクリと口に入れた。
「ん〜……確かに今まで食べたことのない味ね。何かしら……弾力があって……ちょっと生臭いような……んっく……で何なのこれ?」
もぐもぐと口を動かしながら、うんうんと首を傾げる凛は、ごくんとそれを飲み込むと桜に問いかける。
桜はうふふと口元に手を当てると、恥ずかしそうに頬を染め、
「オットセイのペ○スです」
「「ッぶほぁっ!!??」」
とんでもないことを口走った。
士郎とともに吹き出すが、凛は既にそれを飲み込んでおり、畳に手をつきいくらむせようが、何も出ては来ない。
「お、おおおおオットセイのペニ○って、な、何てものを食べさせるのよあんたはっ!?」
「精力抜群ですっ!」
両手で握りこぶしをつくり、ふんふんっと鼻息荒く頷く桜に、勢い良く立ち上がった凛は絶叫のような文句を言う。
「私は何
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