第八章 望郷の小夜曲
第一話 ゆ、夢?
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。
柔らかな感触。
士郎は全身に感じるそれを、さらに感じようと腕に込める力を強くする。
「っあ」
「っ! す、すまない。強くし過ぎ……」
「……ぁ」
腕に力を込めた瞬間、苦しむような声が聞こえ、我に返った士郎は、慌てて腕の力を弱めるとアルトリアから離れた。
そこで、二人は初めて互いの顔を見つめ合う。
士郎は目の前にいる、光を受け輝く女性を見つめる。
その女性は、士郎の記憶通りのままの美しい顔を切なげに歪ませながらこちらを見つめている。
桜貝のような唇から、切ない吐息が漏れ。
深い森のような翠の瞳を涙で潤ませて見上げてくる。
記憶にない安っぽい草色のワンピースのような服を身にまとっているが、それでも身に纏う高貴なオーラは隠せない。
士郎はアルトリアの背に回していた一方の手で、その染み一つない白い頬を触れると、ゆっくりと形をなぞるように動かしていく。
「……っ……ん……ぁぅ……っ」
士郎の指が頬をなぞるたびに、アルトリアは身体を震わせながら、押し殺した声を上げた。士郎はその耐えるようなアルトリアの仕草に、胸の中に沸き立つ何かを感じていた。そしてそれは、士郎の指先がアルトリアの唇の端に触れた瞬間に、急激に膨れ上がり、
「……ぁ……し、ろう」
「ッッ!!」
爆発した。
甘く誘うように士郎の名をアルトリアが口にした瞬間、士郎は最後の感覚を味わうため、アルトリアに襲いかかった。
「っ?! んぁっ! ぁぷ、し、シロ、ゥ……ぁ、ま、まっ、て……ぁ……っ!」
「んっ、ん〜っ、ぁ」
最初はついばむように優しく触れるキスであったが、それは段々と激しく濃厚になっていく。唇が離れる度にアルトリアは抗議の声を上げるが、士郎はそれに応えることなく唇を貪る。
士郎の背中に回していた腕を外したアルトリアは、一気に士郎から離れようと、腕に力を込めたが、
「んっぅっ!」
「んぐっ?! ん、ん、んぁ、んぅっ?!」
抗議の声を上げようと口を開いた瞬間を狙い、士郎が深く口づけをしたため、腕に入っていた力が一瞬にして霧散してしまった。そこからはもう、一方的であった。人形のように力が抜けたアルトリアの身体を抱きしめながら、士郎は深く口を合わせる。士郎の舌は逃げる力を失ったアルトリアの舌を捕まえると蹂躙を始めた。
最初は抵抗の素振りを見せていたアルトリアだったが、士郎の舌がアルトリアの口内を暴れるたびに、その抵抗は次第に弱くなっていく。時間が経つにつれ、互いの唾液が混ざり合う粘っこい音が二人の合わさった口の隙間から聞こえてくる。アルトリアの手が恐る恐ると士郎の背中に手が回り始めた。それだけでなく、応えるように、おずおずと士郎の口の中に自分の舌を差し込みはじめる。士郎とアルトリア
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