彼と彼女の出会いはきっと偶然ではない。
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やらなんやら言われなきゃならんのだ。
比企谷も俺と同じ考えだったのか控えめな声で。
「あのーさっきから俺達の更正だの改革だの少女改革だの好き勝手盛り上がってくれてますけど、別に求めてないんすけど…」
比企谷がそう言うと平塚先生は小首を傾げる。
「ふむ?」
「……何を言っているの?あなた達は変わらないと社会的にまずいレベルよ?」
雪ノ下は「何言ってるのこいつ?」みたいな目で比企谷を見ると。
「傍からみればあなた達の人間性は余人に比べて著しく劣っていると思うのだけれど。そんな自分を変えたいと思わないの?向上心が皆無なのかしら?」
「そうじゃねぇよ。……なんだ………その…」
『もういい比企谷、この先は俺が言ってやる』
「……春夏」
言葉に詰まって自分の言いたい事が上手く言えない比企谷に変わって俺が喋る事にした。
『つまりだな、変われだの変わるだの他人に俺の《自分》を語られたくないんだよ、だいたい人に言われたくらいで変わる《自分》なわけねぇだろ。そもそも自己ってのはだな……』
「自分を客観視できないだけでしょう」
『あァ?』
よほど俺の言った事が気に食わないのか不機嫌な顔で言葉を遮ってきた。
「あなたのそれはただ逃げているだけ。変わらなければ前には進めないわ」
雪ノ下は俺の苛立ちのこもった声に臆する事なくバッサリと斬って捨てた。
『チッ逃げて何がいけないんだよ。変われ変われるだのアホみたいに言いやがって。変わるなんてのは結局、現状からの逃げでしかねぇんだよ?逃げてるのは一体どっちだよ。本当に逃げてないなら変わらないでそこで踏ん張るんだよ、どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれない?』
「でも……それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」
『誰もそんな事頼んでねぇだろうが?自分の価値観を人に無理矢理押し付けるなよ?』
「例えそうだとしても、救われるべき人が救われないのはおかしいじゃない?……」
『ッ……』
救われるべき人が救われないと鬼気迫る雪ノ下の怒った表情に俺は何も言えなくなってしまった。
《救う》なんて普通の高校生が言う言葉ではない、一体何が雪ノ下をああまで駆り立てるのか想像もつかなかった。
「二人とも落ち着きたまえ」
険悪だった空気を和らげたのは平塚先生の落ち着いた声音だった。
「面白い展開になってきたな、私はこういう展開が大好きなんだ、少年漫画っぽくていいじゃないか」
この険悪な空気の中で平塚先生だけテンションが上がっていた。
「古来より互いの正義がぶつかり合った時は勝負で雌雄を決するのが少年漫画の習わしだ」
「いや、ここ現実なんですけど」
比企谷の冷静なツッコミもな
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