第四話〜副官〜
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「頭のいいあなたなら予想がついたはずです。『賊上がりのガキ』が何故抵抗もなく重要な地位に就けるでしょうか?そしてその様を見て、一部の人間が野放しにするでしょうか?」
「………」
「つまり子瑜ちゃんは『今、江様が生きている』という事実から暗殺にさらされたことがないと判断したわけですね〜、あ、私のことは穏とお呼びください」
「御名答です。では穏と」
「………ちょっと待って。じゃあどうやって生き延びて…?」
淡々と答える江と、それに便乗する穏においていかれ、たまらず諸葛瑾は声を上げる。
「答えは今あなたがその手に握っているではないですか」
「!?………つまり」
諸葛瑾の手には既に形を成していない崩れた短刀。
それが示している答えとはすなわち………
「そういうことです。暗殺してくる人を『力』を以て跳ね返しただけのこと」
「そ、そんなことできるわけが………」
「現にあなたの短刀は出した瞬間に砕かせていただきましたよ?もっともあなたには見ることはおろか、気づくこともできなかったでしょうがね」
諸葛瑾が反論の二の句を告げる前に江は事実を示し、その弁を叩き潰す。
先ほどまでの無表情がうそのように、少女の顔には焦りの色が見える。それはまるで鬼の首を取ったかのように喜んでいた子供が、次の瞬間にその行動の間違いを知らされたような様子。
「まぁ、落ち着いてください」
そんな憔悴しきった少女をいつくしむように、江は目線を同じ高さまで下げると、頭を優しく撫でながらいった。
「確かに多少の読み間違いはあれど、その推察力、そしてこのように実行する胆力、驚嘆に値します。そして何より、わが身を心配してくれたことに感謝します」
「…え?」
「穏も先ほどのやり取りに顔色ひとつ変えない度胸、そして子瑜の考えを的確かつ簡潔にまとめた機転、感服しました」
「私も内心はドキッとしたんですけどね〜」
「それでもです。感情を表に出さないという軍師の原則にして最大の障害を既に克服しているのですから。どうぞ誇ってください」
それだけいい終わると、江は諸葛瑾の頭から手を離し、元の姿勢になると二人を交互に見やって頭を下げた。
「そんな二人には是非とも、この国を支えるためにも私の副官を引き受けていただきたい。どうぞよろしく頼みます」
ずっと江に驚かされていた二人は、ここで今日一番の驚愕に直面することとなった。
自分よりもはるかに上の存在が『副官になってほしい』と自分に頭を下げている。それは主従という枠を大きく逸脱した
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