第一幕その三
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問うた。
「私はあの謎を解きたくなりました」
「え・・・・・・」
それを聞いた二人の顔が再び蒼白となった。
「私はあの姫の心を手に入れて見せます!」
彼は二人に対して叫んだ。
「馬鹿な、何を言っておるのじゃ!」
ティムールは息子に対して叫んだ。
「そうです、もし答えられない場合は・・・・・・」
リューも懸命に諫めようとする。だがカラフは聞かない。
「心配無用です。何故なら私は必ずその謎を解くからです」
彼は自信に満ちた声で言った。
「いかん、いかんぞ!」
ティムールはそんな息子に対し強い口調で言った。
「あのペルシャの王子を見ただろう、むざむざ殺されに行くつもりか!」
「違います、私は勝利と栄光を勝ち取るのです!」
カラフはそんな父の声を聞こうともしない。
「そう、私にかかれば謎など!」
「お止め下さい、お願いです!」
リューも必死に諫める。だがカラフはそれでも引かない。
「二人共御覧あれ、私があの姫を勝ち取るのを」
「一体何を騒いでおるのじゃ!?」
そこでかん高い声が響いてきた。
「む・・・・・・」
見れば官服を着ている。役人らしい。しかもその服が豪奢であるところを見るとかなり位の高い者達のようだ。
「全くよりによってこのような場所で」
「そなた達も早く何処かへ行き休むがいい。見ていていいものではなかったであろう」
彼等は不思議な響きのするやけに高い声で言う。
三人共髭が無い。そして顔立ちも何処か中性的である。宦官のようだ。
中国だけでなくトルコやエジプト等にいた者達である。皇帝やその妻妾達の身の周りの世話をする為に去勢された男達である。古来より存在していた。
彼等は皇帝の側にいた為時として辣腕を振るった。中には腐敗の中心となった者もいる。
その為に彼等は時として忌み嫌われた。宦官というだけで排斥され殺されたこともある。だがそれでも尚存在し続けた。何故か。皇帝の身の周りを世話するには必要な存在であったからだ。
「ところでお主」
彼等はカラフのところにやって来た。
「先程何と申した?」
そして問い詰める。
「決まったこと。姫に結婚を申し込むのだ」
カラフは毅然として言った。
「またここに愚か者が一人・・・・・・」
彼等は首を横に振って言った。
「さっき何があったのか見ておらぬわけではあるまい」
彼等のうち一人が言った。
「勿論」
カラフはその尊大とも見える態度を崩すことなく言った。
「ならば止めておけ。むざむざ死ぬこともなかろう」
「そうじゃ、折角親からもらった命じゃ、粗末にすることはないぞ」
彼等はカラフを諭す。
「のう、そこの娘、そなたもそう思うであろう?」
彼等はリューに対し問うた。
「はい、お役人様の仰るとお
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