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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第2話 歓喜する魂
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のか、伸一が急かした。幸歌にチラリと目配せすると、彼女は諦めたように苦笑いをし、
「ほら、3年くらい前に外国の教育方法を取り入れるってことになって、飛び級制度が日本にも出来たでしょ」
「……あ、ああ、そういえばそんな制度が出来たような――――って、それって!?」
「そういうこと!」
幸歌はまるで自分の事を自慢するかのように胸を張り、
「紅葉は小4の秋に一回目の試験を受けて、ええと、……何年生に進級したんだっけ」
「中学2年生よ」
「そうそう、中2!」
さらっと補足をすれば、幸歌は笑顔で両手を打った。
「……あ、だから紅葉ちゃん転校しちゃったのか……」
3年の時を経て知った真実に、伸一が遠い目をして深く息を吐き出す。それを見た幸歌が一瞬つらそうな表情をしたが、すぐに消し去り、
「それで去年二回目の試験を受けて、また合格したんだよね。国立大学の1年生だっけ」
「ええ。理学部物理学科に入学したわ」
「ひ、ひえー……」
「もうさ、私より3つも学年が上だなんてヒドイよね〜」
「そんなこと言われても……。今打ち込めるものと言ったら、勉強くらいなんだもの」
「だからって、そんなに頑張らないでよ〜」
幸歌は、ぷぅと頬を膨らませながらそう言った。そんな彼女を見て、一瞬、私は思う。
――――優秀な成績を残したら自分の価値を見出せるのではないかと考えていた、と言ったらどんな表情をするのだろうと。
そしてもっとも大きな理由として、勉学は“私”が一番嫌いなことだったから一生懸命やっている、なんて教えたら……と。
けれど、その考えはすぐにそれは打ち消した。判断時間にして、ほんの数秒。その速さのおかげか、幸歌と伸一が気づいた様子はない。
私はほっとしながらも、表は崩さないように笑顔を作った。
「あ、そうだ、二人に相談したいことがあってね……。見てほしいものがあるのんだ」
幸歌は言うやいなや肩掛けのバックを探り始めた。彼女はおっとりとした性格の女の子だが、同時におしゃべり好きの面もある。私から話題を振ることはあまりないが、話題が絶えることはない。
私は笑みを作りながら見守っていると、やがて幸歌は目的のものは見つけたようで、パッと顔が明るくなった。再びこちらを見てにっこりと笑う。
うすいピンクの花が舞っているメモ紙を手渡された。そこには、何かのグループの名前なのか、数個箇条書きで書かれていた。
「……ええと、幸歌? 何かしら、これ」
「うん。実は私、高校でパソコン部に入っているんだけど……」
「パソコン部? 幸歌が?」
思わず聞き返した。途端、幸歌が「しまった」とでも言うような表情になる。
「あ、えっと、友達のお兄さんに誘われて……」
「……私、てっきり声楽部とか合唱部に入ったものだと思っていたのだけれ
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