第十二話 実力を見たいって?
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おかしくねえ。いや、それが年齢通りの態度だ。だがコイツは未だに表情も崩さねえ。もしかしたら、こういう場に慣れてるのか……?)
ギルバニアは次々と生まれてくる疑問と戦っていた。
だが当然答えは出てこない。
実際、闘悟がこの場において平然とできているのは、過去の経験からよるものである。
それを知らない周囲の者達は、目の前の少年の様子に不信感を抱いても不思議ではない。
「それで? どうやって力を見せれば?」
「お、おお、そうだったな」
闘悟の言葉に現実に引き戻らされて声を出す。
咳払(せきばら)いをしたギルバニアは、凛(りん)として話す。
「本当にタイガラスを仕留められるような実力を持ってるのか、それを確かめさせてもらいてえ」
ま、そういうことになるだろうな。
問題はその方法だが、果たして内容は……。
「国王様!」
いきなり声が届いてくる。
「……ミラニ」
ベアンが確認するように顔を向ける。
ミラニは片膝をつき声を発していた。
「……どうしたんだ?」
ギルバニアが問い返す。
「はっ、そのお役目、是非わたくしめに命じて頂きたく思います!」
闘悟もミラニに視線を向ける。
おいおい、まさかこの流れは……。
「…………ふむ、ミラニか。それいいな」
ギルバニアが面白そうに口を緩める。
闘悟はギルバニアの表情を見て肩を落とす。
「ミラニは単独でタイガラスを仕留めたこともあったな」
「はっ!」
へぇ、あの女騎士、かなりのやり手なのか。
まあ、この場にいるってことはそれなりの地位を持ってると思ってたけど。
「そんじゃ、お前に任せてみようかミラニ」
「有難(ありがた)き幸せ! このミラニ・クロイセン、グレイハーツ王国魔法騎士団団長の名に懸けて、決して恥じぬ闘いをお約束致します!」
「おいおい、そんな畏(かしこ)まらなくていいって。楽にしろ楽に! あはは!」
ギルバニアは手を振りながら答える。
隣にいるベアンは溜め息をつく。
なるほど、庶民に近い国王ってのも嘘じゃないな。
嫌いじゃないかもな…………こんな大人なら。
「よし! そんじゃ、練技場(れんぎじょう)に向かうとするか」
闘悟達は城の中にある練技場に向かった。
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