傍から見る魔術師の壮大な墓穴の掘り方
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
が同盟の保護を求めるケースすら発生するでしょう。
そうなった時、我々が助けないといけない訳で、その負担と統治は健全化した財政を致命的なまでに悪化させます」
辺境部の開発というのは費用回収までに時間がかかるのが難点である。
同盟はそれをフェザーンからの借金と開発した辺境部の物納という形で支払ったが、財政崩壊状態にあった帝国ではもはや辺境部で反乱が発生しえないぐらい疲弊しきっていたのである。
「つまり、内乱でどっちが勝とうとも同盟には関係ないのです。
ただ、こっちに火の粉が飛んでくるのは困るから早く消火してくれという訳で。
とはいえ、フェザーンによる宇宙征服なんて見たくないのは私も同じでして。
軍が一枚岩で寝返ると反乱成功の最大の功労者となってしまい、リッテンハイム侯をはじめとした貴族達の取り分が少なくなるし、それを養う事になるフェザーンとしても自分達に敵対しかねない軍を放置するとは思えません。
軍が一枚岩になった時、反乱の帰趨を決めるという事を軍に分からせてあげるのです。
そうすれば、取り分が多い現政府側へ当たり前のようにつくでしょうね」
参加者がしばらくヤンの説明に呆然としている中、緑髪の将官がミルクティを飲み干した紙コップをテーブルの上においた。
ことりと乾いた音と共に呟かれた言葉に反応したのはヤンしかいなかった。
「私達がリシュリューの立場になるなんてね。
ワレンシュタインやグスタフ・アドルフは出てくるのかしら?」
「出るでしょうね。
帝国軍は我々同盟と長く戦争をして、無能では生きづらいというのを第二次ティアマトから否応なく学んでいるはずです。
事実、アルレスハイム星域の会戦では、艦単位、隊単位の戦闘で押されていたデータが提出されています。
この連中が内乱を経て世に解き放たれるんですよ」
完全に史学者かつ傍観者的な物言いで周囲から白眼視されているヤンに緑髪の将校は突っ込むのを我慢した。
その英雄達と当たるの、あなたなのよという言葉を。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ