傍から見る魔術師の壮大な墓穴の掘り方
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やって調達したのか?
そして、反乱軍という危険な賭けにも関わらず、クロプシュトック侯・カストロプ公が参加するだけの『正当な後継者』とは誰か?」
会議参加者は慌ててモニター上の帝国家系図を眺めるが、それらしい候補者を見つけられない。
それを確認してから、彼女は続きの説明を適任者に丸投げする事にした。
「後方勤務本部のヤン・ウェンリー中佐を紹介します。
今回の謎について一番最初に気づいた功労者であり、士官学校の戦史研究科を優秀な成績で卒業したこの手のエキスパートです」
壮絶に持ち上げられて喜ぶヤンではない。
たしかに、戦史研究科の成績はよかったが一般課程が赤点すれすれだったので卒業席次は上の下ぐらいである。
会議参加者の視線の集中砲火を浴びながら、気の抜けた声でヤンが口を開いた。
「我々、後方勤務本部が最初に注目したのは、この内戦にともなうフェザーンの海賊・傭兵の移動状況でした。
それは、同盟からの流出も含めてかなり大規模な移動を伴っており、そのほとんどがリッテンハイム侯の勢力に参加している模様です。
はたして、こんな事がありえるのでしょうか?
あるとしたら、それかが可能になるだけの勝ちの理由が存在する場合のみです」
一度口を閉じて紅茶で喉を潤す。
会議室の中はコーヒー派、紅茶派、緑茶派と色々いるが紅茶はヤンと緑髪の将官のみだった。
なお、その紅茶も彼女はミルクティでヤンはストレート。
人の嗜好と派閥の融和への道は遠い。
「我々は、フェザーンがこの内乱に直接関与する可能性について考えていました。
そして、それができる唯一のケースを提示させて頂きます」
モニターの家系図からヤンは現皇帝の所に丸をつけた。
「現皇帝のクローン、および、その血を引く対外受精によるコーディネートです」
その手があったかと顔色が変わる一同にヤンは言葉を続ける。
そして、その言葉を聞いた皆の顔色がどんどん悪くなる。
「帝国では、劣悪遺伝子排除法の影響で遺伝子工学技術が長い間封印されていた事もあり、この手のコーディネート技術は同盟及びフェザーンの後塵を歩いています。
その為、この『正当な後継者』をフェザーンが用意したのではないかと推測しています」
「ちょっと待て!
それをすると、フェザーンが間に立ってきたバランスが崩れないのか?」
「崩れても構わないのです。
というか、大きく崩れれば崩れるほどフェザーンにとって有利になります」
フェザーンは基本的に勢力拡大を望んでいなかった。
要衝フェザーンを抑えるだけで巨万の富と情報を得る事ができるからだ。
だが、730年マフィアの活躍によって勢力を著しく伸ばした同盟の足を引っ張る必要があり、人形師
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