第八話
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うし、一緒にあの世に行くよりもいいだろう?」
「……」
「自分の無力さを感じるがいいさ。そのほうが苦痛になるだろう?」
「てめえ……」
俊司はクルトを強くにらみつけたが、クルトはまったく動じず、むしろ不適な笑みを浮かべながらこっちを見ていた。
「じゃあな? まあ、近々会うかもしれないけどね?」
「くそっ!まてっ!」
クルトは軽く手を振ると、初めて会ったときと同様に光を放つ。俊司に視界が戻ったとき、彼はすでにいなくなっていた。
「くっ……また……」
「俊司君……」
クルトがいなくなったのを確認すると、由莉香は銃を持っていた手を地面に下ろし、俊司のほうを見つめていた。
「由莉香……絶対に意識手放すんじゃねえぞ!」
「あはは……ごめん……ね?」
由莉香は体中に激痛がはしっているというのに、俊司を見ながら笑っていた。
「なんであやまんだよ……悪いのは俺だろ?」
「そんな……こと……ない……よ? 誰だって……あれは……見抜けない……から」
「由莉香……」
「心配……しない……で? 覚悟は……してた……から」
「!」
由莉香は再度笑っていた。
俊司は彼女が何を覚悟したのか一瞬で理解していた。もはや自分はここで死ぬべきだと、望みたくないことを望んでいたのだ。
もちろん、そんなことを言われて少年が黙っているわけがなかった。
「冗談言うなよ! 仲間を助けないわけないだろ!?」
「そうよ! 私が時間を止めて永遠亭に向かうわ。そしたらあなたも助かるでしょ!?」
そう提案したのは咲夜だった。
確かに、咲夜の能力を使えば由莉香が助かる確率は上がる。俊司もそれに賛同して、由莉香を励ました。
だが、由莉香はその提案を聞いて、
「やめて……ください」
と言い返していた。
「な……何言ってんだよ……お前は……冗談言うなよ……」
「私は……冗談なんか……言ってないよ……?」
由莉香の目は自身の覚悟であふれていた。
それを見た俊司は、無意識に涙を流していた。彼女のこの目は俊司も何回か見てきた。こうなってしまえば、彼女は絶対と言い切れるほど意見を曲げない。その後でいくら後悔してしまおうが、すぐに行動を起こそうとする。
彼女の悪い癖だった。
「由莉香……お前……」
「ごめんね……俊司君」
由莉香も俊司が自分の考えを悟ったことに気づいたようだった。これで彼は引き下がってくれるはずと考えていた。
だが、少年もいつものように引き下がるわけにはいかなかった。
「ふざけん
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