第35話 誰が為に戦う(1)
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たのかが分からない。
関係の無い人を巻き込んでまでジュエルシードを手に入れようとする少女達に、なのはは戸惑いを覚えざるを得なかった。
だが、今はそれを考えている暇はない。
「なのは、急いでジュエルシードの封印をっ」
「うん、レイジングハート!」
ユーノの声になのはがバリアジャケットを展開し、レイジングハートを封印モードに移行させた。杖の先に桜色の光が集まっていき、封印魔法を唱え始める。
「リリカル、マジカル――」
詠唱をするなのはの視線の先に、黄色の光が集束するのが見えた。予測していた事ではあるが、なのはの心は焦る。
このままでは、同時に封印魔法を行使する事になるが、もう止める事ができないのだ。
「――封印っ!」
もう止めれないならと覚悟を決め、なのはは詠唱を唱えきる。桜色の光が解き放たれ、それと同時に黄色の光線も発射された。
暴走するジュエルシードに二筋の魔法が突き刺さる。二つの封印魔法にさらされ、暴走初期であったジュエルシードはその輝きを急速に失っていった。どうやら、いつもの二倍の力を受けても、封印魔法は効いているようだ。
小さく収まっていく光を見て、なのはは肩の力を抜き、レイジングハートの構えを解く。
「なのは、ジュエルシードの回収をっ!」
「う、うんっ」
そんな時、矢継ぎ早なユーノの指示が飛んだ。そもそもこの封印劇を誰が演出したか、それを考えるとのんびりはしていられないからだ。すっかり目の前の事しか考えていなかったなのはの顔が少し朱に染まる。
幸いジュエルシードとの距離はなのはの方が近い。動転する心を落ち着かせ、もう一度集中するためになのははわざとゆっくりと歩く。
しかし、その判断がいけなかった。
「回収なんてさせないよっ!」
その声と共に、巨大な狼――アルフが上空から襲いかかってくる。咄嗟の事になのはは襲いくる鋭い顎を見上げることしかできない。
「…させないっ」
しかしずっとなのは達の後ろに控えていた純吾がそれを防いだ。【ハーモナイザー】を展開し高めた腕力を、マグネタイトで構成された光の剣にのせて振るう。
「ぐうぅっ!」
さながら光の壁に跳ね返されたように、アルフは空中で弾き飛ばされた。しかしすぐに体勢を直し、アスファルトを削りながら着地。
地上に降り立ったアルフが見たのは、既になのはの前に立ち、アルフを睨みつける純吾とリリーだった。
「またあんたかい……坊やっ!」
「…フロストエース」
牙をむき出しにして吠えかかるアルフ。だがそれに純吾は全くの動揺を見せない。視線をそらさずにアルフに向かって携帯を突き出し、【悪魔召喚アプリ】を起動した。
「当ホーに、迎撃の用意あり!」
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