黄巾の章
第5話 「……あたしは弱いのか」
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いでしょうね……それを纏めるのがあの男」
私は彼を思い出し、ぶるっと身体が震えるのを感じた。
「? 華琳様?」
「ふふ……桂花。信じられるかしら。初めてよ……男に恐怖したのは」
「! あの北郷とかいう男ですか? 何をされたのです!」
あらあら……桂花のはやとちりが始まったかしら?
「何もされていないわよ……あの北郷盾二という男は、私の傘下への誘いを断っただけ」
「華琳様のお誘いを、たかが男がですか!? 許しがたい蛮行です! 殺しにいっていいでしょうか!?」
「ふふ……貴方がそう言ってくれるのは嬉しいけどね。私はあの男が断ったことで逆に興味がわいたわ」
「華琳様!?」
ふふっ、やっぱり桂花はからかうと面白いわね。
でも……
「でも、恐怖したのは本当よ。私と相対したあの男の放つ気迫……まさに”覇気”だったわ」
「……!」
「信じられる? たかが義勇兵を纏める無位無官の男。それにこの曹孟徳が怯まされたのよ……恐怖も抱いたけど、逆に欲しくなったわ」
「華琳様、危険です!」
「そうです! あの男は危険すぎます!」
春蘭と秋蘭がそろって声を上げる。
ふふ……心配性ね。
その心配は嬉しくもあるけど。
「春蘭も秋蘭も見たでしょう。あの覇気……あれが我が物となったら、きっと私は今以上に覇道を進むことができる。それが私にはたまらなく欲しい……」
「華琳様!」
桂花が私に跪いてくる。
「華琳様、そんな危険な誘惑に身を任せるのはおやめください! それは蟲毒というものです! 王の道に外れます! どうか、どうか!」
……桂花。
貴方は本当に私を心配してくれるのね。
ありがとう。
「ごめんなさい、桂花。もちろん私はそんな蟲毒のような誘惑に身を委ねようとは思わないわ。戯れが過ぎたわね」
私がそういうと、桂花は顔を上げる。
その顔は明らかに安堵の表情があった。
「春蘭も秋蘭も悪かったわね。ちょっとした冗談のつもりだったのだけど」
「いえ、安心しました」
「華琳様がそのような方でないことは、我々が良く知っております」
二人も安堵の表情を浮かべている。
果報者ね、私は。
「でもね、あの男が我が下に来れば、と思ったことは事実よ。あの覇気を取り込んで、さらに上を目指すという意味でね。それにどちらかといえば、その下にいた関羽や張飛といった豪傑に興味があったわ。彼女達は春蘭にも負けないいい武将になることでしょう」
「確かに……あの関羽という女は、立ち向った気迫に並々ならぬものを感じました」
「春蘭にそこまで言わせる相手なんて……」
桂花が考え込む。
「……華琳様、もう一度接触して取り込みますか? 方法ならばいくらで
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