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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第5話 「……あたしは弱いのか」
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賊だな。まったく情けないことだ」
「姉者、報告の途中だ。黙って聞いていよう」

 春蘭と秋蘭が小声で話している。
 そうね、春蘭。私もそう思うわ。

「……それで?」
「はい、黄巾はその後、斥候が敵の本陣を見つけたと報告を受け、夜が明ける前に報復に出撃。その数は四千とのこと」
「……報告、ねえ。どうせ偽報でも掴まされたか、わざと見つけさせたのでしょうね」
「そのようです。相手は渓谷で待ち構えて、黄巾が渓谷に入ったところで後方を落石で遮断。前方は巨大な落とし穴でこちらも遮断して封殺。四千は(ことごと)く討ち取られたとのこと」

 四千を悉く……ずいぶんと苛烈ね。

「降伏はしなかったのかしら?」
「渓谷の崖の上にいた将が一度だけ警告したそうです。ですが、後方を遮断した状態で兵はいまだ損害無しだったようで……黄巾の指揮官は拒絶しました」
「愚かね……そこに誘い込まれた時点で幾重にも策が仕掛けられていて当然だというのに……」

 私が呟くと、横で春蘭が何か言っている。

「(ぼそぼそ)なあ秋蘭。策など突撃して粉砕すればいいのではないのか?」
「(ぼそぼそ)姉者……いいから黙っていような」

 ……あとで春蘭にもお仕置きしようかしら?

「そう……それで義勇軍の損害は?」
「それが……」

 あら? 桂花が言いよどむなんて珍しいわね。

「……”零”です」
「……は?」
「零、です。まったく損害はありません。一人の欠員も負傷兵もおりません」
「……なんですって?」

 四千を殺し尽くして損害がない?
 人が戦えばどうやっても損害は出るものよ。
 それが……まったくないですって?

「……落とし穴で前方を封じたといったわね。そこから這い出てくる黄巾は、どう対処したのかしら?」
「斥候が見たことを総合しますと……渓谷を塞ぐほどの大穴で、深さは遠めにみても二丈(約八m)以上はあったとのこと」
「……つまり、何日も前から仕込んでいた、ということね」

 最初から誘き寄せて罠にはめるつもりだったのだ。
 六千で、一万を……

「しかも、穴の中には無数の竹槍のようなものを仕込んであった様子です。落ちた黄巾はそれに刺され身動きが取れなかったとのこと」
「……聞いたことがあるわ。百舌鳥(もず)早贄(はやにえ)……そんな状態だということ?」
「はい。仲間が串刺しで殺された穴を前に、黄巾の兵がどう思ったか……」
「……なるほど、士気は崩壊。抵抗する意思はなかったでしょうね。それを殺しつくす、か……義勇兵ならやるでしょうね」
「はい。彼らは義憤、いえ兵にとっては私憤での集団です。自分達が奪われ、殺されることを黄巾にやり返す……必ずやるかと」
「そうね。そうでなければ纏めることなどできな
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