15話
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まあせいぜい俺が挫けないように見守っていてくれ」
そっと花を置くとまた来るからと言って買出しした荷物を抱えて墓地を後にした。
兄と同じ道を歩むために。自分に何が出来るか知るために。仲間たちの元へ。
ロイドが支援課ビルに帰ったのは夕方近くになっており、数人の作業員たちが屋外工事が終わって帰るところだった。
そういえばネットワークの工事がどうのと言っていたような。
ロイドがそう思った通りついさっきまで支援課ビルに引く導力ネットワークケーブルの配線工事が行われていた。
導力ケーブルは市の地下空間に張り巡らされておりこのケーブルが繋がる市内で情報交換が行えるネットワークということになる。長大なケーブルでこれが伸びれば近隣の国とも接続が可能になっている。
今回の工事は地下にあるケーブルの分線工事を行いビル内に引き、回線を繋ぎ合わせることである。
この導力ケーブルはジオフロントを通すことで地上の外観を損なうことなく巨大なエネルギーを送れるのでこの数年で一気に普及したものである。
ロイドが帰るとティオはモニターに向かってシステムの調整にために端末を操作しており、エリィとランディは荷物をリビングのテーブルに置いて雑誌を読んでいる。
どうにも静かで空気が沈んでおり、ティオがキーボードを叩く音がだけがよく聞こえる。
「私たちのことが載ってるわ」
少し沈み気味のエリィが渡してくれたのは今日発売のクロスベルタイムズだった。
まあみんなの反応から内容は想像通りだということがわかった。
百貨店で買い物中にほかの客から少し好奇の目で見られていたから認知されているのだなと漠然と思っていたが。
内容はクロスベルの時事として自治州発表やらアルモリカ村の魔獣被害などが載っていたのだが社会面にアリオスが子供を見事救出した活躍と杜撰な施設管理体制という批判的な記事の最後に写真付きで支援課のことが載っていた。
無論、支援課が最初にリュウたちを救出したことなど載せているわけもなく新設された部署の力不足としてアリオスの「ツメが甘かったようだ」という言葉だけはしっかり掲載していて。
特務支援課が人気取りの部署として設立されたというところだけは正確だった。
多少脚色が入っているが間違いではない。少なくとも嘘は書かれていない。
だが、良い気分はしない。
クロスベルタイムズは自治州政府に批判的な雑誌だ。だからこそ民衆の人気も集めているのだが、批判される身になると結構堪える。
グレイスに取材された時点で予想されたことで皆冷静だったのだが無言で落ち込んでいるとも言える。
ロイドはこのままじゃ駄目だと思い、皆に声をかけた。
「沈んでても仕方ない。それよりこうしててもしょうがないから、みんなで夕食を作ろう」
エリィはそうねとすぐに
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