15話
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たのだが、少ない支援課の運営費から出てる食事代を出来るだけ節約したいと手作り料理、自炊することに決まり、支援課ビルの厨房には一通り調理器具が揃っているから材料があれば料理人の腕次第で何でも作れる。使わない手はない。
肉やら野菜やら調味料やらを購入して買出しは終わったのだが、ロイドは知り合いに会うと言って支援課には戻らず一人でどこかに消えた。
クロスベル大教会の裏には市民の多くが眠る共同墓地がある。
自治州成立前から存在する墓地は広大であり、その広大さがクロスベルの辿って来た歴史を象徴し、戦禍に巻き込まれた人々の数を示している。
多くの人が眠る故に多くの人が訪れる。活況で移り気さを好むクロスベル人といえども故人を懐かしみ思い出が必要な人はいる。
ここにも一人、今は眠る人に挨拶を交わす人がいる。
ロイド・バニングスは兄、ガイ・バニングスが眠る墓石の前で献花するための花束を持って故人に語り始めた。
「3年も挨拶しに来なくてごめん。なんだか意地張っちゃってさ。でも、俺、帰って来たよ。兄貴と同じ警察官になって」
胸に付けられた傷一つない新品の警察徽章を少し誇らしげに見せる。
「兄貴と同じの。昔は兄貴の傷だらけのバッジなんて憧れもしなかったけど、胸にあると誇りが湧いてくるし警察官として行動しなくちゃって思うから重いよ」
いざ、説明してみるとなんだか少し照れ笑いが入ってしまった。
「セシル姉も通信で合格を伝えたら本当に喜んでくれてさ。ずっと会ってくれないって怒るからあんまり通信もしなかったんだけど、昨日の夜、通信して来て相変わらず元気でやってるってさ」
そして警察学校の思い出を語り始めた。優等生で通したことや在学中に捜査官資格を取って得意気に自慢したり。
しかしその言葉はいつの間にか照れ笑いが次第に冷めた自嘲したものにものに変わっていた。
「本当、俺、意地張ってたなって思う。頼っても構わなかったのにさ。自分は一人で出来ますって。一人前になって兄貴の仇取ってやるなんて息巻いても結局変な部署に入れられちゃってさ」
だが話題が仲間のことになるとまた活き活きと子供のように弟が親しい兄に自慢するように語った。
「でも良い仲間、同僚って言うのかな?みんな凄く面白い奴らで。エリィって女の子は見たこともない凄い美人で同い年で同僚だなんて信じられなかったよ。ティオって小さな女の子もいるんだけど、それが凄く自立した子で、財団の難しい機械を操ってもう働いてるだから驚いたよ。それにランディっていうちょっと年上なんだけどさ、いつも飄々としてお気楽な奴なんだけどちょっと兄貴みたいで頼りになってさ。こういう気の合う仲間がいてさ。まだ何をやるか、どうなって行くのかわからない部署なんだけど、俺、頑張ってみるよ。だから、
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