Episode11:襲撃と姉弟喧嘩
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とはね。
「とにかく…最悪の事態は防がないとね」
そう呟いて、俺は地面を思い切り蹴り抜いた。
九十九家は、他の百家や十師族のように何代も連なってできた一族ではない。そもそも、隼人の父と母から九十九家は始まったのだ。だが、その二人の魔法は、恐らく世界で最も『魔法使い』に近いとても強力なものだ。故に、血を重ねてゆっくりと地盤を固めてきた他家とも渡り合うことができる。故に、九十九家の力は秘術とされている。故に、九十九家は都市部とは隔離されている。
それは誰が望んだわけでもなく、そうせざるを得なかったからだ。
強力な魔法師をつくるには、其れ相応の強力な血が必要となる。九十九家の血は、他家に狙われる。そんな理由があって、九十九家の家は東京郊外の、過疎地帯にあった。
隠れるにはうってつけの場所。だが、バレてしまったら人目を気にすることなく攻めていける場所だ。
今回、なぜ家の場所がバレてしまったのかは分からない。もしかしたら隼人がうっかりしていたのかもしれないし、自分がヘマをしたのかもしれない。そう思いながら、九十九家長女兼当主の九十九スバルは自らのCADである刀を賊に叩きつけた。空気を切り裂いた刀は、賊を頭部から力尽くに叩き斬った。
「まったく、キリがないわね」
「ったく、この人数相手に言うセリフじゃないと思うけど?」
刹那ーースバルを取り囲んでいた賊が、腕から血を撒き散らして倒れこんだ。誰一人の、例外もなく。
「あら、速かったじゃない。さっすが私の弟ね」
「いや、弟いなくてもこれなら姉一人で片付けられるんじゃないかな?」
「あら、隼人はか弱いか弱い女の子一人にこのむさ苦しい賊の相手をさせるのかしら?酷いわー」
「か弱い、だと……?」
「あー、酷い!それはお姉さん怒っちゃうわよ」
「いやいやいやいや、『か弱い女の子』って言葉は姉さんに最も合わないんじゃないかな?」
「あらぁ…あの隼人が、随分と言うようになったじゃない?」
「ふっ、あの頃の俺じゃないことを見せてあげるよ…たっぷりとね……」
姉弟の間に不穏な空気が流れ、魔法が発動される瞬間、
「お前ら姉弟なんだから仲良くしろよ!」
「「うっさい!!」」
思わず叫んだ賊の一人は、ブリザードの如く吹き荒れたドライアイス群に包まれた。
死屍累々ーーそんな言葉が似合いそうな光景が、九十九家の玄関前にはつくられていた。
「ふふっ、やるじゃない……」
「ね、姉さんこそ……流石は|剣姫《
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ