第一物語・後半-日来独立編-
第二十九章 開戦
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圏から独立し、日来を存続させるだけだったけど。宇天長を救うことになって、世界を少しマシにするために行動することになった。他からすれば身勝手な行動だが、君達よりかは長く生きてきた俺からすれば良い選択だと思うよ。
人生、世の中の出来事に流されていたら得られないものがあり、見付からないものもある。他人がどう思おうとも君達は、君達の意志を貫け」
一拍置き、
「実戦経験の無い者いるだろうから、ここでアドバイスだ。
戦場においては何時に生き残るかを考えろ。何時死ぬか分からない戦場で、格好悪くとも生き残る術を見付け出せ。死んで何かのためになろうなんて考えるな、死ぬってことは仲間達を見捨てるってことだ。だから、這ってでも生き残れ。日来の戦力は世界最弱クラスだろうけど、世界を相手にするならそんなのは関係無い。だから負けて、悔しくて、悲しくても」
そうだとしても、
「――敵わないと思ったなら、生きてここへ戻ってきな。そして強くなるために努力して、勝ちを再び取りに行けばいい」
重みのある言葉に、誰一人として声を出すことはなかった。
優しい副担任だった榊は、今や学長の立場として自分達の目の前に立っている。
彼の強さは表に出るものではない。裏にひっそりと現れ、身に感じる強さ。
笑みのまま立つ学長に、一歩を踏み出すセーラン。
セーランの顔もまた笑みのまま、
「必ず戻って来る。どんなに身体がボロボロになろうとも。生き残ることが叶わず、この身朽ち果ててもせてめ魂だけでも。必ず――」
榊に向かって、今ここに誓いを立てる。
「この日来に戻ってくると、そう誓うよ」
長の言葉に皆は頷く。力強く、覚悟を込めて。
それらを受け取り、
「なら行ってきな。戦う者は戦場に、そうじゃない者は自身の役目を果たすためにさ」
直後、“日来”の声が響き渡る。
『飛び降りの時間となりました。戦いに向かう者達はただちに飛び降りを開始して下さい』
榊は見た。
副担任を務め、色々な事を教えた教え子達がそれぞれの方向へと走って行くのを。
ある者は日来から飛び降り、辰ノ大花へと戦いに向かい。ある者は船上を走り、自身の役目を果たすべく移動する。
若い頃の自分と同じように、恐怖を感じるもそれを払うように現実を変えようと必死になる彼らの。
彼らの後ろ姿は勇ましく、力強いもであった。
それを見て、榊は振り替える。
「黄金時代を生きた世代からすると、これから来る暗黒時代は不安で一杯だ。だけど、君達なら生きて行けると、そう思うよ」
呟くように言ったその言葉は、辺りに響く砲撃によってかき消された。
彼らは彼らの役目を果たしに行った。なら教員である自分の役目は、ただ見守ることだけだ。
一人取り残された榊はこの場から去るように、何処へ行く
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