第一物語・後半-日来独立編-
第二十九章 開戦
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になりましょう」
「ならばどのような結果になるか、ここで見物しようじゃないか。その結果は世界に変化をもたらすものなのか、楽しみでならんなあ」
二人は巨体な航空船と無数の戦闘艦の様子を、離れた場所から遠目に見詰める。
戯れ言を交え、二人は世界を語った。
彼らは世界の中立に存在する国の、中心に立つ者だ。
●
現在、日来は黄森と辰ノ大花の戦闘艦により、船と船とを繋ぐ渡り道を攻撃されている状況だ。
渡り道を狙う理由は三つ。
まず別船からの増援を防ぐため。もう一つは退路を断ち、制圧し易くするため。そして最後に勢力の分散だ。
しかし狙いが分かっていれば、そこを重点的に防御すればいいだけのことだ。
日来の巨大さゆえに撃沈は諦め、この戦術にしたのだろう。
砲撃を放つ戦闘艦の群れを割り、日来は最大出力で前進しながら高度を下げていく。
今、日来がするべきことは一刻も早く宇天の長の元へ日来の長を向かわせることだ。
だから、いちいち戦闘艦に構っている暇は無い。
その巨大な物体は辰ノ大花の地に巨影を生み出し、下に存在するものを影のなかへと飲み込んでいく。
砲撃によって揺れる日来の船上、高等部の三年一組の学勢が集まっている。
「おいおい、空間移動終えたらいきなり一時間経ってるんだけど。俺達、そんな長く移動していなかった気がするんだが」
表示されている映画面|《モニター》が示す時間は午後一時過ぎ。空間移動する前とは明らかに数字が違っていた。
時間確認のために開いた映画面がそうなって、開いた本人のセーランは驚いた。
体感時間が狂った覚えも無い。どういう事か。
「空間移動は空間と空間との間を凝縮し、そのなかを通ることを言います。空間が凝縮したなかを通る側としては短期間で移動したと感じられますが、それ以外のものからすれば何時も通りの時間が流れているんですよ」
「ごめん、頭痛くなってきた」
美兎の説明を理解出来無いテイルが、頭に両の手を置き、頭の痛みを訴える。
周りも理解しているとは、言い難い状態だ。
解り易い例えはないものかと、記憶のなかで使えそうなものを探す。
探していると、は、と思い浮かんだものがあった。
「あ、ほら。狸右衛門て言う盗賊アニメで、狸右衛門が使う道具なかに何処でも扉って言うものがあるじゃないですか。空間移動は何処でも扉みたいにこちら側と向こう側を一瞬で移動出来ますが、時の流れが空間を凝縮している分、早く感じるんですよ」
「え――っと。つまり空間移動は何処でも扉と同じだけど、時間は短時間に感じているだけで、ほんとは違うってことでいいの?」
「そんな風にざっくりと考えた方が良いかと。深く考えると頭がこんがらかってしまいますから」
「説明下手なんじゃない、あんた?」
するっ
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