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トゥーランドット
第三幕その二
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そして庭園を後にした。
「もう少しですね」
 庭園を去ったカラフは先程謎解きが行なわれた階段の前にいた。そしてそこで彼を応援する者達と共にいた。
「そうだな、もうすぐ月が沈む」
 彼は月を見上げて言った。
「そして姫はこの私のものとなるのだ」
「はい、そして姫様はその氷の様な心を溶かされるのです」
「貴方の熱い心によって」
 彼等は口々にカラフを褒め称える。彼等は宝玉よりもカラフの心を選んだのだ。
「姫よ、もうすぐだ」
 カラフは宮城に顔を向けて言った。
「貴女は私のものとなるのだ」
「そう上手くいくかな」
 ここで何者かの声がした。
「何っ!?」
 それは入口から聞こえてきた。カラフはそちらに顔を向けた。
 見れば先程庭園で彼を問い詰めた民衆達が皆手に得物を持っている。
「あんたの名前を今ここで知ることになるんだからな」
 見れば宦官達もいる。そしてそこには父と彼女もいた。
 ティムールとリューは身体を左右から押さえられていた。そして周囲にこずかれながらこちらに引き立てられて来る。
「貴様等、一体何のつもりだ!?」
 カラフはその顔を蒼白にさせて彼等に向かおうとする。彼を支持する者達もそれに従った。
「おっと、動くなよ」
 だが彼等は二人に得物を突き付けて彼に対し言った。
「少しでも動けばこの二人がどうなっても知らねえぞ」
「クッ・・・・・・」
 カラフはその卑しい笑みと言葉を聞いて歯噛みしたが動くことは出来なかった。やはり父とリューが心配であったからだ。
「さあ言え、あの男の名は何という」
 民衆は二人に対して問うた。
「止めろ、その二人は関係ない」
 カラフは彼等に対して言った。
「そんなわけないだろう」
 彼等はそんな彼を嘲笑して言った。
「そうだ、この二人があんたの名を知らない筈はないからな」
「クッ・・・・・・」
 その通りだった。父や側に仕える者がその名を知らないなど考えられないことなのだから。
「ほら言え、言ったら解放してやるぞ」
 彼等は二人に対して言った。
「誰がお主等なぞに・・・・・・」
 ティムールは彼等を蔑む目で見てそう言った。
「殿下、私達のことにはお構いなく」
 リューは弱々しい声でカラフに対し言った。
「しかし・・・・・・」
 そんな二人を見捨てられるカラフではなかった。彼は苦悩した面持ちで二人を見た。
「ほう、秘密を知っている者ですか」
 そこで上からあの氷の様な声が響いてきた。
「その声はっ!」
 一同その声がした階段の頂上を見上げた。
 そこに彼女はいた。トゥーランドットは侍女達を従え冷たい眼で皆を見下ろしていた。
「ははーーーーーっ!」
 民衆も宦官達もその場に畏まる。ただカラフだけが彼女を見据えていた。

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