第三幕その一
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第三幕その一
第三幕 秘密の名
カラフの名、それは誰も知らなかった。そのことに怖れをなしたトゥーランドットはすぐさま街におふれを出した。
『あの若者の名を知らせた者に報償を与える』
その報償とは山の様な宝玉。誰もがそれを見て目の色を変えた。
皆眠ることなく彼の名を探し求めた。だがそれでも尚誰も知らなかった。
「良いか、誰も寝てはならんぞ!」
役人達の声が宮城にまで聞こえて来る。
「探し出した者には報償が待っておるぞ!」
どの者も血眼になっている。そして彼の名を懸命に探し求めている。
「今夜は誰も寝てはならぬ、名を知るまでは!」
そして夜の街は喧騒に包まれていた。
「私の名を探し求めているのか」
カラフはそれを市内の庭園で聞いていた。本来は静かなこの庭園も今は騒ぎ声が聞こえて来る。
夜の中に緑の木々と花々が月の光に照らし出されている。池には蓮の花の間にその黄色い月が浮かんでいる。
「誰も寝てはならぬ、そう今は誰も寝てはならない」
カラフは空の月を見上げて言った。星達も輝いている。
「それは姫よ、貴女もそうなのだ」
彼は月に対し語り掛けるようにして言った。
「貴女は今その冷たい氷に被われた様な部屋で一人怯えている。私の名を知ることが出来なかったならどうなることかと」
言葉を続ける。
「貴女は知ることは決して出来ない。何故ならその名は私の心の中に固く閉じ込められているから」
一瞬顔を伏せた。だが再び夜の空を見上げた。
「朝が来た時に私は言おう、貴女のその氷の様な心を溶かす為に。そして私の口づけは貴女のその心を完全に溶かすだろう」
「誰も謎を知ることは出来ないのでしょうか。私達はあの宝玉を手に入れることは出来ないのでしょうか」
遠くから宝玉を欲する女達の声がする。
「宝玉など愛の前には如何程の価値があろうか」
カラフは毅然として言った。
「さあ月よ、沈むがいい。星よ、消え去るのだ!朝よ私の下へ。私は勝利を収めるのだ!」
その時遠くから男達の声が聞こえて来た。
「若者よ、勝利をその手に掴むのか。愛を手に入れよ!」
カラフに心を寄せる者も多くいた。街は今宝玉を求める者と彼の勝利を願う者の両方がいた。
「おい、いい加減に他の者に迷惑をかけるのは止めよ」
宦官三人組がカラフの前にやって来た。彼等は前者であるようだ。
「何がだ?」
カラフは毅然とした態度で彼等に対して言った。
「どうしてそう揉め事ばかり起こすのじゃ」
彼等は顔を顰めて言った。
「そうじゃ、人を困らせるのがお主の趣味か」
彼等は口々にそう言った。
「生憎だが私にそんな趣味はない」
カラフは態度を変えることなく彼等に対して言った。
「私はただ愛
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