第三幕その一
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を勝ち取らんとしているだけだ」
「だからそれが迷惑なのじゃ」
「お主は周りが目に入らんのか」
「私は人の目など気にはしない。ただ姫の愛を手に入れんと欲するのみ」
彼は強い口調で言った。
「だからそれが迷惑なのじゃと言っておろうが」
「幾ら頭の回転が早くとも人の話を聞かんのでは意味がないぞ」
「私は人の言葉など意に介さない。ただ己が信念を貫くのみ」
「どうやらお主は本当に愚か者のようだの」
彼等はこれで何度目かわからないが心底呆れ果てた顔で彼に対し言った。
「まあそれもそうだろうがな。命をかけておるのだから」
「だがのう、わし等とて宝玉は欲しいのじゃ」
「宝玉!?そんなもの愛の前には何の価値もない」
カラフは首を右に振って言った。
「お主にとってはのう。だが他の者にとっては違うのじゃ」
彼等はカラフに対して言った。
「わし等は宝石が欲しい、この気持ちがわかるじゃろう」
「命のことなら問題ない。陛下が姫を抑えて下さる。だから、な」
「その名前をわし等に教えてくれるだけでよいのじゃ」
「いや、それは出来ない」
カラフは相変わらずの態度で答えた。
「私は姫に勝負を挑んでいるのだ。謎解きで。その勝負を投げ出すことは出来ない」
「わし等がこんなに頼んでもか!?」
「そうだ」
「命を保証すると言ってもか!?」
「命など問題ではないのだ」
「それでは何が望みなのだ!?」
それはカラフにとっては愚問であった。
「愛だけだ」
一言で言った。
「私にとってはそれ以外のものは何の価値もないものだ」
「そうか・・・・・・」
宦官達はそれを聞いてガックリと肩を落とした。
「もうよい。お主には聞かぬ」
「勝手にせい。そして愛なり何でも手に入れるがいい」
そう言うとその場をあとにした。
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