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気合と根性で生きる者
第五話 同盟
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エクリプス≠チてただの問題児の集まりだったりするの? まさか、エレン=ドラクレアって子も問題児なんじゃ――」

「事実だ。現実を受け止めろ」

 ピエールの無情の一言に、マーシャルは椅子から地面に力無く崩れ落ちる。同盟中に醜態を晒しているなどただの馬鹿なのだが、今はそんなことがどうでも良いくらいに、マーシャルは投げやりになっていた。

「はは・・・は・・・・・・どうすんの、これ」

「アンタが作ったんだろ。自分で考えやがれ」

 無情極まりないピエールの言葉に、だんだんと生気を失っていくマーシャルの瞳。どうやら、この問題は彼のメンタルをかなり削るほどの事態だったらしい。

「・・・・・・あれ? これってもう終わった件でしょ。何者かがオーディンの眼≠盗んだ者を撃退し、その際にオーディンの眼≠ヘ木端微塵。塵も残らなかったって話しじゃん。もしかしたら、御宅のガルムがオーディンの眼≠食って霊格を上げているかもね」

 手紙を手に取ってみたルイオスが冗談半分に言うが、生憎今のマーシャルはそれが本当に起こりそうで、心労が増すばかりだった。

「冗談でもやめてほしいです。そういうのは・・・・・・」

 面白そうに冗談を言うルイオスに、心労がマッハのマーシャル。しかし、この時まだ彼は知らなかった。

 ルイオスが言ったことよりとんでもない事態になってしまうことを、まだ誰も知らなかったのだ。










 時は同盟会談の数日前に戻り、上層である三九三二外門。そこでは今、一匹の黒い巨躯を持った巨大犬と、綺麗なプラチナブロンドの髪と血の様な赤い瞳をした歳は二桁になったばかりの少女が、ある者を追跡するために全力で移動しているところだった。

『くそっ! 存外に素早い奴だ!』

「どうする? あの槍を使えば、確実に仕留める事も出来るけど――」

『すまない。私の霊格を上げるには、奴を食い殺さなければならないのだ』

「だよね〜・・・・・・」

 建築物の屋根の上を次々と飛び移りながら会話をする二人。少女の方にはまだ余裕があるように見えたが、犬の方には余裕などないのか、声音からもそのことがひしひしと伝わってきた。

「じゃあ、こうしよう! 私が槍で相手を麻痺させるから、弱った相手をガルムが食べちゃって!」

『って、出来るなら最初にそれをしてほしかったぞ!?』

「ふふん。だって取って置きは、最後まで取っておくのが定石でしょ? こっちが追いつけないと高を括っている相手だからこそ、その油断を突いて私が槍を投擲して相手を麻痺させる! これで成功率は倍増し! 当たる確率は九割強ってね!」

 と、理に適った意見にガルムと呼ばれた巨大犬は驚きのあまり目を見開く。まさか、こんなに小
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