第五話 同盟
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を食い殺させるのは気が引けるんだよ?」
無邪気にそう言うエレンと呼ばれた少女。この少女の恐ろしい所は、言っている事の何が本気で何が冗談なのか、まったく分からないというところだ。今だって、まさにそうだ。ハッキリ言われるまで、この少女は本気で少年をガルムに食い殺させようとしていたのではないか、と考えてしまう程に、その真意が分からなかった。
『安心しろ。私はこの子を食べようとはしない――条件を満たしてくれれば、な』
「うわっ、ガルムって案外酷い」
『エレンにだけは言われたくない。それと条件は二つ。一つはそのオーディンの眼≠私に譲ってほしい。もう一つは、我々のコミュニティエクリプス≠ノ加入すること。この二つを条件に、君を見逃すことにする』
「ダメだ! オーディンの眼≠セけはダメだ!」
不意に少年が大声を発する。ただならぬ気迫と必死さに、ガルムは何事かと思い、反射的に訊く。
『どうしてだ?』
「これは先祖様の眼だ! 僕はそれを先祖様の墓に添えなきゃいけないんだよ! あの槍を手に入れる為に! 僕がオーディン≠フ完全な霊格を手に入れる為に!」
『なら、それが終わった後でも良い。その眼を譲ってもらえないのか?』
儀式であれば、オーディンの眼≠ヘ儀式終了と同時にただの遺物となる筈だ。だからこそ、ガルムはそう提案してみるが――
「無理だ。僕がオーディンの眼≠先祖様の墓に添えた時、僕の眼とオーディンの眼が交換され、それによってオーディンの完璧な霊格を得る事が・・・・・・その槍を手に入れる事が出来る。でも、その眼を失えば――僕はその霊格を失う事になるんだ」
少年に説明され、ガルムは考え込む。今このオーディンの末裔をコミュニティに入れて新たな戦力を得るか、それとも自身を強化してコミュニティに貢献をするか。
このエクリプス≠フリーダー・・・・・・マーシャルこと勝なら、自分と同じ立場になってどの様な行動をするか考える。
(・・・・・・いや、考えるまでもないか)
ガルムはすぐに結論に至り、最後の交渉に移る。
『では、それまで我々が手伝いをする。代わりに、事を成した時はエクリプス≠ノ加入し、今後はエクリプス≠ノ貢献すること。この条件で、見逃してやる』
「ほ、本当か!?」
『あぁ。どのみち貴様は、サウザントアイズ≠ゥら追放されているのだろう? ならば、我々の元へ来い』
パァッと少年の顔がさっきまでと違い、満面の笑みを浮かべる。
『エレン、悪いが白夜叉様に報告を――』
「うん。分かってるよ。それより、早く一緒に行ってあげてね。これからコミュニティが大規模な進化を遂げるんだから」
そう言って、エレンは来た道を戻って行った。後に残
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