暁 〜小説投稿サイト〜
気合と根性で生きる者
第五話 同盟
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さな少女がそこまでの考えを持っていたとは、想像していなかったのだろう。

 少女は不敵な笑みを浮かべながらギフトカードに収納していた槍の一本を取り出す。

「それじゃ、投擲するよ!」

 そう言うと同時に、少女は建物へと飛び移る際に通常の三倍以上の跳躍を見せ、片手でその槍を持ち胸は逸らし、それでも視線は相手へと向け、逸らした胸を勢いよく元に戻す――いや、前のめりにすると同時にランスを力一杯に投擲する。

 投擲したのと相手の体勢が不安定になったのと、その直線上にあった空き地が爆発しクレーターが出来たのはほぼ同時だった。

 彼女が投げた後の槍は――ガルムですら視認することが不可能な速度で、投擲された。あの投擲された槍の速度は音速というには速すぎ、光速というには少し遅い。これがきっと、第三宇宙速度というものなのだろう。

「よし! 脊髄と胸椎の中間を掠めて、その上部の圧迫完了! これで五分くらいはアイツ、首から下が麻痺するから、食い殺すには十分だね!」

『――はっ?』

 一瞬、ガルムは自分の耳を疑った。何故なら彼女は、自分から200m以上離れている相手に槍を直撃させるのではなく、その第三宇宙速度にも似た馬鹿げた速度で、脊髄と胸椎の中間、その上部という細かい位置、そして圧迫という力加減、その両方をやってみせたのだ。これが如何なる領域の技術なのか、槍を投擲した人物であれば誰だって分かるだろう。いや、投擲したことの無い人物でも分かる。

 アレだけ離れた距離で移動中の相手を、その上にあの速度で重たい槍を投擲し、神業のような所業を行って見せた。誰が見ても、この神業には舌を巻く事だろう。

「さっ、早く行こう! 霊格を上げるんでしょ?」

『あ、あぁ・・・・・・分かった』

 驚愕に呆然としていたガルムは少女の言葉に意識を呼び戻され、すぐに相手の落ちた場所へと向かう。

「あ、みーつけた!」

「ッ!?」

 少女の声と共に、麻痺して倒れ伏しているにも関わらずビクッと反応を見せる、歳はまだ十前半に見える少年。

「ふーん・・・・・・まだこんなに小さい子どもがオーディンの眼≠盗み出したのか〜。どうするガルム? やっぱり、食い殺しちゃう?」

 少女の無邪気なその言葉に、少年の顔が恐怖に歪む。その隣に居た黒い巨大犬を見て、ますますその歪みは酷くなる。

『いや、エレン。こんな小さな少年に、それを言うのか?』

「だって、もともとガルムが引き受けたのって、自分をフェンリルに昇格させる為でしょ? なら、この子は不完全ながらもオーディンの神格を持ってるんだし、食い殺せば昇格出来るじゃん。なら、食い殺すのが一番かなって。あ、もちろんだけど人情抜きにしての話だよ? 私だって、本心ではこんな小さな子ども
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