第八話 これが魔法かぁ
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「ありがとうございますです!」
「それよりも、こんなことになるなら、兵士とかに頼めば良かったんじゃないのか?」
王族が一人で来るような場所じゃないしな。
「……皆さん、忙しそうでしたし、それに、この森は宮殿からも近くて、安全と聞いておりましたのです」
「あんな化け物がいたのに?」
あんな獣がいる場所が安全の基準だとすれば、決めた奴は頭がどうかしている。
「面目ありませんですぅ」
しょぼくれているクィルを見ると、やはり頭を撫で回したくなる。
怒られてもいいので撫でることにした。
すると、彼女はビクッとしたが、今度は気持ちよさそうに目を細める。
「ま、無事で良かったんじゃないか?」
「トーゴ様のお蔭なのです!」
闘悟は少し照れくさそうに視線を逸らせる。
「ところでトーゴ様はこれからどうなさるのですか?」
「ん〜とりあえずクィルについていくかな。一文無しだし、街で仕事探さねえと」
闘悟の言葉を聞きながら、クィルは目をキラキラさせる。
「ほ、本当ですか!」
「お、おう」
いきなり詰め寄って来たクィルに驚く。
「すぐ近くですので、早く参りますです!」
嬉しそうに闘悟の前を歩き出す。
「はいはい。急ぎ過ぎて転ぶなよ?」
「む〜そんな子供みたいなこと……きゃっ!」
はいはい、お約束お約束。
「い、痛いですぅ」
「だから言ったろ?」
闘悟はクィルの手を取り起こしてやる。
そして、闘悟達はクィルの住む宮殿に向かって歩き出した。
とは言っても、本当に近かった。
森を数分で抜けると、目の前に城塞に囲まれた街があった。
「あれがそうか?」
「はいです!」
「おい、でも門番らしき奴らがいるぞ? お前、見つからずにどうやって抜け出したんだ?」
「それはもちろん魔法なのです!」
「……へぇ」
俄然(がぜん)興味が湧く。
「どんな魔法なんだ?」
「私の一番得意な眠りの魔法なのです」
「眠りか……」
「見てて下さいです」
そう言うと、門番二人に向けて指を差す。
「我が魔力を糧(かて)として、彼の者達に癒しと安らぎを与え、優しき眠りに誘(いざな)え……スリープ」
すると、クィルの指先から淡い光が放たれ、門番を包み込む。
そして、二人は力なく腰を下ろし、意識を飛ばす。
「へぇ、やるじゃないか!」
素直に感動する。
これが魔法。
初めて目にする、地球では考えられない力。
「えへへ」
照れながらはにかむ姿が可愛い。
そして、闘悟達は難なく門を潜
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