2話 林道 五也side
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こいつは何を考えているんだ。
「え………でも……」
案の定少女は戸惑い明らかにうろたえている。
「おい、いくらなんでも急すぎるだろ。人には話したくないようなこともあるだろ」
流石にそれぐらいの気遣いはできるのか、そいつは気まずそうな顔になった。
「いや……そうだけどさ、でもやっぱ話すことで楽になれることもあると思うんす」
「楽にね……」
確かにそういう時もあるだろうが、それが常に当てはまるとは―――
「本当に聞いてくれるの?」
多少予想外であったと言わざるを得ないだろう。
おい、そのどや顔はやめろむかついて殴りたくなる。
「実は――――」
少女の話を纏めると、彼女は現在父親が仕事で大怪我をして入院中らしい、そこで彼女の家は少々どたばたしているらしい。
つまりは今家には彼女の居場所が無く、また彼女も家族に迷惑をかけれない又はかけたくないということでここに来ていたと。
ここからは俺の推測だが、結局どんなに気丈に振る舞っても子供は子供、恐らくは父親が大怪我をした悲しみと一人っきりの頼れる者のいない心細さに耐えきれず泣き出してしまったと言ったところだろう。
「………」
話が終わり少女はこちらを不安そうに見上げてくる。
……慰めるのは簡単なことだ、しかしそれは彼女の抱えている問題を解決することはできないだろう。
「あんた、寂しいんだよな?」
どうやらこいつも同じ結論に行き着いたらしく、気遣わしげに少女に声をかけた。
少女の頭がコクリと縦に動く、それを見ると何か妙案でもあるのか顔が見る見る間に明るくなった。
「だったら、俺が友達になるっす」
「え……」
この提案には流石に俺も驚いた、俺にはない発想だった。
「友達がいれば辛いことだって分けあえるっすよ」
「そう……かな?」
「そうっすよ」
わずかにだが少女の顔が明るくなりつつある。
「友達に………なってくれる?」
それでもやはり不安は残るのか、恐る恐る聞いた少女に対して転生者はその不安を打ち払うような笑顔で堂々と、
「もちろんっすよ」
言ってのけた。
もう俺がいる必要もなさそうなので2人に背を向け立ち去る。
「それとこいつもっす」
嫌な予感は薄々してはいた、だが如何せん行動が遅かったようだ。
グイッと体が後ろに引っ張られ、たたらを踏んだところで素早く体を反転させられる。
更に逃がさないとばかりに肩までくまれてしまった。
「おい、俺には関係が……」
「だめ………なの?」
ないと言おうとしたとこで、うるうるとした瞳で少女が見上げてくる。
くそっ! 何故だ眩しい! 眩しすぎる!
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