暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜我は蟲触の担い手なれば〜
『転生。 或いは、交差する赤と紅』
EP.01
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
先輩も覚えてないんですか? 写真、見せましたよね?」
「写真、ね。 そもそもその写真とやらも手元にはないんだろう?」
「それは、そうなんですけど……」
「それならソレが答えだよ、イッセー君。 そんな女の子、最初からいなかったのさ」

 いつも通りの返答。 知らない。 覚えがない。
 そう、俺が夕麻ちゃんのことを尋ねても返ってくる答えはいつもコレだ。
 一度はからかわれているのではと疑いもした。
 けれど、真剣に問いただすほどに、そうではないと痛感するばかりだった。

『なんでこんな美少女がイッセーの彼女なんかにイィィィー!!』
『馬鹿なッ!! まさか、世の中のシステムが反転したのか!?』

 驚愕。 混乱。 嫉妬。 羨望。
 様々な感情を織り交ぜた、失礼極まりない暴言の数々。
 数日前に繰り広げられた光景は、強く記憶に残っている。
 しかし、今ではこいつらが言うようにまるで幻想だったようだ。
 こいつらの発言を裏付けるように、彼女の痕跡は何もない。 何も。 何も。
 携帯電話に登録されていたはずの情報。 消えた情報。
 記憶を頼りにかけた電話番号は、現在使われていないとのことだ。
 ならばと、彼女の着ていた制服を手掛かりに調査もしてみた。
 しかし、結果はそんな生徒はいないという回答。 回答。 回答。
 在校生に、教師に、近隣の住民に尋ねて。 尋ねて。 尋ねて。
 結局、警察官に補導されるまで繰り返し尋ねても望んだ答えは得られなかった。

 ―――天野夕麻という少女は、存在しない人間だった。

 未だに信じられないが、確かにそれは紛れもなく現実らしい。
 じゃあ俺は誰と付き合っていたんだろうか?
 あの日、俺はいったい誰とデートしていた?
 或いは松田や元浜の言うように、彼女は俺の夢の中だけの存在だったのだろうか。
 夢の中の出来事を、さも現実であるように俺は錯覚していたのか?
 嘘。 嘘だろう。 だって、俺は覚えているんだ。
 解せない。 どうしても納得がいかない。
 深夜に感じる身体の異常の事といい、何かが決定的におかしいような気がする。

「イッセー」

 ぽん、と。 考え込む俺の肩に松田の手が優しく置かれた。

「まあ、俺たちも思春期だしそういうことだってあるだろうさ。
 とりあえず、今日の放課後は俺の家まで遊びに来いよ」
「むむっ。 松田君、それはもしかしてアレかい? アレなのかい?」
「ああ、今日はイッセーの為に、俺の秘蔵のお宝の鑑賞会だ。 元浜君も当然、来るよな」
「ふっ、愚問だよ。 俺たち三人はいつだって一緒だ。 ……そうだろう、イッセーくん?」

 爽やかな笑顔を並べて、いやらしくグフフと笑う松田、元浜。
 変態だ。 どこからどう見ても、間違いなく
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ