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自由気ままにリリカル記
妄想ー精霊王の一人旅の終着点ー
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自分の考えだけで突き進めば姉の気持ちも考えずに敵視していたことだろう。
そして、いくら強くて世界最強で周りの評価があろうとも自分の姉なんだ……。
その結論に辿り着いた一夏は姉のもとへと歩き出す。
「姉さん……」
「いちか…………?」
「俺は……強くなるよ。……千冬ねえを守れるくらいに強くなる」
「そうか……期待している。もうこんな事にはならないでくれよ……」
「おう!」
そして泣き顔ながらも二人が朗らかに笑うのを見た男は安堵した表情で去ろうとした。
「ちょっと待ってくれ」
「……なんだい? 家族水入らずで会話を楽しめば良かったじゃないか」
「確かにそれもいいが、あなたには感謝している。弟を助けてくれてありがとう」
きちりとお辞儀でお礼を言った織斑千冬の顔は先程までの泣き顔はなく、世界最強に相応しい凛々しい顔があった。
「いやいや、偶然不穏な声が聞こえて忍び込んでみたら助けることになったってだけで特にお礼を言われるようなことはしてないよ」
「それでもだ。……それとあなたの腕を見込んで頼みたいことがあるのですが」
「ん? 俺に出来る範囲でならいいよ」
男はそう言ったものの後ろめたい内容でない限り、それこそ家族になれという要望でも易々と引き受けるだろう。
なにせ男は暇なのだ。
仕事を止めて普通の人が一生遊んで暮らせるような金を手に入れた男は、数十年の間世界を己の身一つで回っていた。
飛行機、船、タクシーなどを一つも使っておらず、むしろ金は全く減っていないため偶にホームレスがいたら配っている程だ。
その途中でここに出くわし、刺激を求めた結果このようなことに落ち着いたのだから、お礼を言われるような高尚なことはしていないと言える。
「さっき弟……一夏から強くしてくれと言われましたが、私はここの情報を教えてくれたドイツにISの教導をお礼としてしなければならないので、鍛えることは出来ません。だから時間があれば一夏を教えてほしいんです」
この提案は男にとって渡りに船だと思った。
先程の一夏の「姉を守れる程強くなる」発言に、女尊男卑の今の時代では珍しく決意を持っ眼差しに興味を持っており、その発言とは裏腹に貧弱な体を見て、どうすれば鍛えることが出来るだろうかと考えていた所なのだ。
正に暇つぶしを見つけた男にとっては目の前で大好物のシュークリームを出されるのと同じことで、逃すわけがない。
「もちろん。っていうか特にやることないし、家も売っ払ってるからなんなら住み込みで鍛えてやってもいいよ?」
「ありがとうございます……家も売っ払ってる? ……失礼ですがあなたは何をしていたのですか?」
「身一つで世界一周。特にやることがないもんでね。っあ、勿論身分証明書もあ……あれ? 太平洋泳いだ時になくしちゃったかな?」
「……はあっ。一夏ち
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