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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
最終話 終幕の真相
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実際、この世界にも自分のかつての存在がいるはずなのだ。何故なら、あの戦いの最中にそれを思い出したはずなのに、俺にとっての真実はそちらだった筈だろうに、結局今は忘れている。それはつまりそういうことなのだろう。と勝手ながらに想像している。

「くくく―――ははは……いい答えだ。では、その答えに敬意を評して君の知りたいことに答えよう」

だったら、とそう呟き―――

「結局あいつはなんだったんだ?」

藤井蓮がそう言ってメルクリウスに尋ねる。最後にそれだけがわからない。アグレド、アルフレート、七皇帝の分体、666(Nrw Ksr)―――それらの正体は結局、こいつ以上にわからない。何のためにこんなことをして、どういった存在だったのかを。

「ふふ、いい質問だ。だがな、私はそれに対する完璧な答えを持ち合わせていない」

対して、その答えはおおよそ目の前にいる相手の言葉とは思えないものだった。少しばかり、目を見開き、驚愕を露わにする。

「嘘、なわけはないよな。知らないってことなのか?」

「いいや、知っているとも。だが、今の君にそれを教えても理解できないだけの話だ。だが、心配はするな。君が理解できない対象なのはアグレドだけであり、また他の存在は今や諸人に過ぎんよ。それでも聞くかね?」

「そうか……だったら別にいい。ちょっとばっかし気になっただけだからな」

目の前にいる彼は女神と敵対する意思はない。ラインハルトもまた彼自身が降した。だからこそ彼だけが蓮にとっては懸念だった。あれが或いは牙を向けてくるのではないかと。それが知れるかもしれないと、そう思ったから聞いた程度のことだ。

「ああ、心配はいらん。私も彼女を塗り替えようとする者など許さんし、彼もまた女神を害するものではない。それは保障しよう。では、お別れだ。君らの愛を祝福し、また私の望みを叶えた対価として、面白い事実を伝えよう」

そう言って、墓の目の前で頭を垂れていた私服(・・)を着ている黒髪の男は立ち上がり、踵を返しながら別れ際に、

「彼女はいずれ、己の触角を生み出せる(・・・・・・・・・・)ようになる。私がそうであったようにね」

「…………」

その言葉を聞き、思わず振り返り、歩き去っている彼を見る。

「また逢える、かもしれない。と信じることが重要だ。さらば、我が歌劇の英雄」

どこか誇らしげにそう言って、彼は来た道(・・・)を遡るように去っていった。座として純血を持った彼がこの世界で生きることを良しとされ、許されたのは何故なのか。

「それは結局、あいつも人間だったってことなんだな……」

かつて、アルフレートが言った言葉。人間じゃないものもいる。それは始め誰のことを指しているのかわからなかった。マリィ、或いはラ
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