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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
最終話 終幕の真相
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いたい。
この一瞬を永遠のものとして、記憶することが出来るように。時よ止まれ、君は誰よりもキレイだから。
******
―――フランス・サン・マロ―――
「つまり、結局私はアレとの戦いで相打つ事となり、本来ならば再び世界を回帰させる事となっただろう。しかし、私が討たれたその僅かな間、私は死生観の狭間に囚われた。だが、逆にそうなったことによって私は特異点に取り残されることも、座の意志となることもなかったのだよ。今ならばわかる。私は彼女に抱かれ死にたかったのだ。我が友はそれを教えたかったのだろう。そして、今まさに私は彼女の世界に抱かれ生きている。これ以上の至福はあるまいよ」
「そうかよ」
呟いて、サン・マロのある墓の目の前で彼は閉じていた眼を開く。
「せっかくフランスくんだりまで来たっていうのに……大体、抱かれて死にたかったって言うんだったら、なんで生きてるんだよ」
「死んだとも。ただし、座の意志としてだ。私は座という立場にあったからこそ彼女に抱かれ死ぬしかなかった。だが、その後に彼女の世界で抱かれているならば、生きていても構うまい」
「はいはい、分かったよ。で、だったら何でこんなとこまで来たんだ?」
ここは確かに彼女の墓地ではあるが彼女がいるわけではない。さらに言うならこの場所は景色の景観こそいいが、町のはずれだ。なのに何故お前はこんなところまで来ているんだ、と蓮が尋ねた。
「ただ、ふとね。君が知りたがっているのではないかと思っただけだ。意味のないことかもしれんが、それは君が今やっていることも同じだろう。彼女の墓など、参ってどうする」
「それこそお前はどうなんだよ?俺は別に墓参りしているわけじゃないさ。単に見たかっただけだよ、マリィが生まれた国を」
そもそも彼女は死んでいない。今だって彼を包んでくれているのだ。それを彼は自覚している。だからこそ、このサン・マロを、浜辺を自分の目で見たかったのだ。
「なに、私にとっては意味のない事というわけではない。ここに彼女のいた記録があった。それだけでも私がここに来る価値はある」
結局はそういうこと。彼にとってはここに来るだけの価値は十分にあるのだろう。
「で、何を教えてくれるんだ?」
「さて、何から話そうか?つまらないことから重要なことまで話す事となればきりがない。君の盟友、ハイドリヒの今、時代の違う人間の今やこれから、女神のことも、そして―――君の名も。君が彼女に触れられた理由だ。知りたくはないかね?その魂が、かつて何者であったのか……そこに総ての答えがある」
一拍、空気を置いて彼は答えた。
「興味がない。俺は俺だ。それでいいんだよ。それにな、何かお前が教えたがってそうだから、聞いてやらない」
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