第二幕その五
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フランスの新教徒達を虐殺している。歴史に名高い『サン=バルテルミーの虐殺』である。これは宗教よりも政争であったがこれにより多くのフランスの新教徒、ユグノーが殺された。パリは彼等の血と屍骸に覆われた。そのことから彼女の悪名は今にまで伝わっている。
そうしたフランスであったがここに一人の美女がいた。ディアヌ=ド=ポワティエである。彼女はその老け込まない美貌で何と二十歳年下の国王アンリ二世を虜にしてしまっていた。彼は七歳の時に彼女を見て一目で心を奪われそして死ぬまで彼女のことのみを考えていたのだ。それ程までに美しい女性であるから当時でもフランス以外の国においても評判の美女であった。彼女はフランスの宮廷の女性の代名詞とも言える存在であった。
「ところでお話は変わりますけれど」
「はい」
ロドリーゴはエボリの話に合わせた。
「パリのルーブルでの夜会はそれはそれは素晴らしいものだとか」
「はい、あの方もおられますし」
彼はふとそのディアヌ=ド=ポワティエの話題を出した。
「あの方は肖像画でしか知らないのですが」
公女はエリザベッタをチラリと見て言った。
「まるで女神のようだとか」
実際に彼女は月の女神とも称えられていた。
「はい、私も一度お会いしたことがありますが」
ロドリーゴは答えた。
「本当にお美しい方ですよ」
「それはそれは私もそのようになれたらいいのですが」
「御心配なく。貴女はあの方よりも美しいですよ」
「まあ、そんなご冗談を」
二人はこうして他愛もない話をしている。エリザベッタはその間に手紙を開いていた。
「これは」
それは父王からの手紙ではなかった。王冠と百合の紋章はダミーであったのだ。
「・・・・・・・・・」
それはスペインの言葉であった。
『親愛なる貴女へ』
それはカルロからの手紙であった。
「どういうこと・・・・・・」
どうやらロドリーゴは彼にこの手紙を渡してくれるよう頼まれたようだ。
しかし彼は自分とカルロの間にあるこの気持ちを知らないようだ。何故なら今彼女を見向きもしないからだ。どうやら本当にヴァロア家からの手紙だと思っているらしい。如何に心を割った友でも語れはしないことなのだから。
『私は貴女にお伝えしたいことがあります』
だが彼女はその揺れ動く気持ちを抑えた。そして平静を装い手紙を読んでいった。
『ポーザ侯爵ですが』
ロドリーゴのことである。彼等の関係は彼女も知っている。
『いざという時は彼を頼りにして下さい。彼は必ずや私達の助けとなるでしょう』
どうやら彼はいずれ自分達のことを彼に打ち明けるつもりのようだ。
(だけどそれは・・・・・・)
大変危険なことにもなりかねない。彼女はロドリーゴに目をやった。
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