第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十四 〜広宗、陥落〜
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いう事ですかな?」
「孔融殿! いい加減になされませ!」
今度は飛燕だ。
流石に見かねたようだな。
「太史慈、構わないわ。確かに、私はこの男に惚れたわ」
「ななな、なんと大胆な」
暑くもないのに、やたらと汗を拭う韓馥。
「勘違いなさらないで。私は、この男の才能を見込んだだけです。孔融殿、まだ問答の必要がおありでしょうか?」
「いやいや、曹操殿がそう仰るなら、もう何も申しますまい。では、これにて」
そう言い残し、孔融は出て行った。
後を追う飛燕は、一度華琳に向かって頭を下げていく。
「でで、では、私も」
韓馥は相変わらずどもりながら、あたふたと出て行った。
その後を、彩が苦虫を噛み潰したような顔つきでついて行く。
「済まぬな、華琳」
「いいのよ。ああでも言わなきゃ、あの場は収まらなかったでしょうしね」
華琳は小さく、溜息を一つ。
「でもね、歳三。貴方を買っているのも、信用しているのも事実よ? その期待、裏切らないでね?」
「という事のようだ。風、頼んだぞ」
「ぐー」
「……なんか、寝ているようだけど?」
華琳も夏侯淵も、ただ苦笑するばかりだ。
「全く、貴方のところは見ていて飽きないわね」
何も言い返せぬな、これでは。
「歳三殿!」
夜襲の素振りをする最中。
疾風が、打って出た振りをして、我が陣へと戻ってきた。
攻撃を加えていた恋も、数合打ち合う真似をしたのみ。
……尤も、今の賊徒に、その真偽を見抜くだけの気力が残っているとも思えぬがな。
「ご苦労。少し、窶れたか?」
「いえ、お気になさらず。それよりも、張角達の正体、突き止めましたぞ」
その言葉に、皆に緊張が走る。
「それで疾風。張角とは一体、どのような奴なのです?」
「結論から答えよう。皆、少女だ……このような動乱とは無縁の、な」
「動乱と無縁ですと? ですが現に、このような大乱になっているのですぞ!」
「ねねの言う通りだ、疾風。仮にお主の言う通りの人物であったなら、何故ここまで民が苦しまねばならんのだ?」
「まーまー、愛紗ちゃん。少し落ち着きましょうよー。それで疾風ちゃん、続けて貰えますかー?」
「ああ。張角、張宝、張梁。三姉妹は、しがない歌芸人だったようだ。それがある日、急に人気を得て、瞬く間に信者を増やしていったようだ」
「急に、ちゅうのが気になるけどな。それで?」
「そして、舞台の場で『天下を獲る!』と宣言したそうだ。それを聞いた一部の信者が暴走し、気がつけばこの有様……という顛末らしい」
「……は?」
恋を除く全員が、疾風の言葉に固まった。
「ちょ、ちょい待ち! それ、歌芸人が歌で頂点を獲る……そないな意味ちゃうやろうな?」
「……霞。それ以外の、どの意味があると申すのだ?」
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