第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十四 〜広宗、陥落〜
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に参りましょう」
パタパタと、しきりに扇子を使う韓馥。
孔融は頭脳は明晰そうだが、軍師や英傑といった印象はない。
韓馥に至っては……優柔不断な中年男としか見えぬ。
「風、では次なる策を説明せよ」
「御意ですー」
卓上に広げた地図を示しつつ、風が話し出した。
「現在、広宗に籠もった盗賊さんは大凡、十五万近くになったようですねー。ですが、もともとそこまで糧秣の蓄えがあった訳じゃなかったようで、食事は満足に取れていないようですね。城内から上がる、炊煙が極端に減ってますしー」
「加えて、毎夜の夜襲と見せかけた行動で、寝不足に陥っている事だろう。最も、我らも少々寝不足気味ではあるが」
彩が苦笑する。
「空腹に寝不足から来る疲労、加えて籠城し続ける事での鬱積もありましょう。程立殿、そろそろ、敵方に何らかの動きがある、そう見ていますが、如何でしょう?」
「太史慈さんの仰る事もご尤もですけどねー。ただ、今の盗賊さん達に、そこまで頭が回るかどうかは疑問なのです」
「しかし、このまま座して死を待つ、とは限らんぞ?」
「秋蘭の言う通りよ。程立、そこはどう考えているのかしら?」
「ご心配なく。その為の手は打ってありますしー」
華琳は、何処か楽しげだ。
人物の才能を推し量るのが、生来好みなのやも知れぬな。
「ならば、その言葉、信じましょう。それで、いつ決行するのかしら?」
「今夜は、同じように夜襲の真似をしますので、明日の未明ですかねー」
「決まりね。孔融殿も韓馥殿も、異存はないでしょうね?」
「は、はい。私はそれで」
韓馥は即答したが、孔融はジッと、黙り込んでいる。
「孔融殿? どうかなさいまして?」
孔融は、やっと顔を上げた。
「曹操殿は、何故このような者の言葉を、そこまで取り上げなさるのかな?」
「あら、どういう意味でしょうか?」
「そのままですがな? なるほど、策に筋は通っているが、この者達は何ですかな?」
なるほど、此度は我らが中心となって立てた策。
そのものに異論はないが、それを許した華琳に対して物言いを、という事か。
「孔融殿? 今は出自を問うよりも、如何に勅令である黄巾党討伐を成し遂げるか、それが最優先でしょう?」
「それはご尤も。ですが、万が一この策がしくじったなら、その責めはどなたが負うのです? まさか、無位無冠のこの者共に、とは申しますまい?」
「…………」
華琳と孔融の間で、見えない火花が飛び散っている。
「……いいでしょう。責めは全て、私が負いましょう」
「華琳様!」
「秋蘭、貴女は黙っていなさい。なるほど、ここにいる歳三は無位無冠の者です。なれど、その人となりを見込んで、我が真名を許した相手でもあります」
「ほう、真名を許されるとは。それだけ、この者に惚れた、と
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