二話〜依頼〜
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アスナがそう言うや否や、ティーナと呼ばれたその少女は、笑顔でアスナにはいと返すと、その優しげな笑顔のまま、俺に笑いかけた。
「ご挨拶が遅れまして、私、ティーナと申します。えっと……メインの武器は《カタナ》で、いつもは血盟騎士団の参謀職をしているのですが今はわけあってアスナさん護衛の任務に就いております。どうぞよろしくお願いします」
そう言って、ティーナは綺麗なしぐさでおじぎをした。つられて俺も、小声でどうもと呟き、おじぎを返す。
「ほら、クラディールも自己紹介」
アスナの厳しい声が飛んだ。ああ、そう言えばもう一人男がいたな。失礼かもしれないが、存在感が全く無い。
そう思っているうちに、その、クラディールなる男が一歩だけ進み出た。
「クラディール。アスナ様の護衛に就いている」
……なんとも無愛想。っていうか、
「二人で護衛?やりすぎじゃないのか?」
それ以前に、護衛ってどうなんだ。
そんな俺の、心の呟きが聞こえたわけではなかろうが、アスナはやや沈んだ声で呟いた。
「だよね、護衛なんて。いくらなんでも行き過ぎてる。確かにわたし、一人の時に何度かいやな目にはあったけど……」
「まあまあ、アスナさん、そう言わないで。ギルドの方針で決まったんですから。それに……」
やや攻め口調で続けていたティーナの声色が急に押し殺したそれへと変わった。彼女はゆっくりと辺りを見回し、この四人以外に誰もいないことを確認すると、かすかでしか聞き取れないほど小さい声で、言った。
「……あのこともありますから」
「あのこと?それって何なんだ?」
後から思えばあまりにも軽率な行動だった。アスナが慌てたように俺の口を塞ぎにくるが、すでに事遅し。俺の口から飛び出した、アスナたちを焦らす単語たちはそこらじゅうに散らばっていった。ティーナが確認していたので、誰にも聞こえてはいないと思うが。
「ちょ、ちょっと!キリトくん!何してるの!?もし他の人に聞かれてたら……」
「だ、大丈夫だって!ティーナがさっき人いないか確認してただろ!?」
アスナのパニックっぷりに若干つられてしまった俺は、ティーナと目を合わせることによって同意を求めた。
「え、ええ、大丈夫だとはおもいますけど……」
よ、よし!
窮地から脱出したことに軽くガッツポーズをする。
「ふう……ま、いいわ」
どうやらアスナもあきらめてくれたようだ。これでもう万々歳!……ではなくて、
「で、結局、あのことって何なんだ?」
今度は比較的、小声にしたつもりだ。
おかげで気に入られたようで、ティーナは迷うそぶりも見せず、返してくれた。――俺的には、アスナへの言葉だったが、
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