二話〜依頼〜
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。数秒の内に【Asuna】の文字を見つけ出すことができた。後は《実行》ボタンをぽちっと押すだけ、それだけで例外なく、アスナの現在位置を知ることができる。
俺は、すーーはーーと、深呼吸をして妙に苦しくなる心臓を落ち着けると、そろそろとしか動かない人差し指を持ち上げ、ボタンをぽちっと――
「キリトくーん」
押せなかった。
いや、正確には押す必要が無くなったのだが。
「遅かったじゃないか、アスナ」
たった今、転移門から現れたアスナに安堵しながら、言う。
「あはは、ごめんね。色々てまどっちゃって」
アスナは、微笑みながらもどこか申し訳なさそうに、風になびく栗色の髪を押さえた。
色々とは、ギルド関係のことだろうか。まあどちらにせよ、無事でよかった。
そんな心の声が、危うくそのまま口に出そうになったが、そこは何とかこらえ、俺は無理矢理にため息をついた。
「色々ってなぁ……アスナに限ってそんなことは無いって分かってたけど……オレンジに襲われたとか、ちょっとだけ心配しちゃった俺の身にもなってくれよ」
こらえられてないじゃないか。自分で言っておきながらカッコ悪い。
若干のやっちまった感を肌で感じながら、俺はアスナの次なる行動を待った。笑われるか、呆れられるか、はたまた怒られるのか。
だが、反応は全く別なところから返ってきた。
「私たちが、たかがオレンジに遅れを取るとでもお思いですか?キリトさん」
反射的に声のした方、転移門に振り向く。するとそこには、いつの間に現れたのか、血盟騎士団の証である、純白の地に真紅の十字が施された、時代劇にでてくる新撰組のような衣を纏い、腰まで伸びるきらびやかな黒髪を下で束ねている少女と、これまた同じような色合いである鎧を着た長髪の男が見えた。
「あー、ごめんねティーナちゃん。面倒ごと押し付けちゃって」
ぼけーっとしている俺をよそに、アスナがあの二人組み、主に少女に対してこっちこっちと手を振った。少女はそれに笑顔で応じると、わずかな階段を飛び降り、すたすたと足早にこちらへやってきた。長髪のやつもそれに続く。
「アスナさん。念のため確認しますが、この方がキリトさんでよろしいんですよね?」
「うん、そう。キリトくん」
「そうですか、あなたがあの黒の剣士……」
「あ、あのーー、アスナさん?」
あんまりほったらかしにしないでもらえます?という頭に浮かんだどストレートな一言は却下。瞬時に頭の中で別な言葉にカスタマイズすると、俺は一度閉じた口を再び開けた。
「えっと……こ、このお二人は?」
「あっ、そっか、キリトくんはこの二人と会うの初めてだったね。じゃあ……ティーナちゃん、簡単に自己紹介をお願い」
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