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東方守勢録
第七話
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。嬉しい誤算かな?」

「とぼけんなあ!!!」


俊司は殺意をむき出しにすると、なんのためらいもなく彼に銃口を向けて引き金をひいた。

だが、何秒待っても弾丸が飛び出してくることはなかった。


「なっ……」

「そんな武器で俺を殺すってのか?」


俊司が使ったのはさっきまで使っていたハンドガン。だが、何度引き金を引いても発砲音は聞こえない。

よく見ると、ハンドガンの銃口には大きな亀裂ができており、とても扱える状態にはなっていなかった。


「そんな……あの時の……」


俊司の脳裏に浮かんだのは、防御壁を突破する際につかったスペルカード 変換『科学で証明されし弾薬』だった。ハンドガンからグレネード弾を発射し、防御壁を突破したのはよかった。

だが、ハンドガン自体がその反動に耐えきれていなかったのだ。

俊司の思考が音を立てて途切れていった。


「この外道が!!」


咲夜達は俊司のかわりに、ナイフや弾幕でクルトを攻撃する。だが、それと同時にクルトの足元から魔方陣が展開され、攻撃はことごとく防御されていった。


「まったく、君たちは無謀という言葉をしらないのか?」

「くっ……」

「しっかし、おもしろいねぇ? 里中君?」

「なに……?」

「君を狙ったと言ったろ? 君の能力だっけ? 『危機を回避する程度の能力』発動してないじゃん?」

「!!」


全くその通りだった。

俊司の能力は『危機を回避する程度の能力』。これまで何度も命の危機を脱出してきた。

だが、今回はそれが起きることはなかった。俊司の脳内は疑問と焦りが生まれ始めていた。


「我々は仮定をたてたのさ。真っ向から攻撃しては能力を発動させてしまう。だが……気付かれなければどうなるのかと」

「!?」

「それは今実証された。君の能力は君自身気付いていなければ発動はしない。それを言いかえるとどうなる?」

「……言いかえる?」

「そうさ。つまり、気づかなければ何もできないとうことは?」


クルトは俊司に問いかけるが、俊司は何もしゃべろうとはしない。クルトは一度溜息をついてから、口を開いた。











「何もできない……つまり、将棋で言えば……詰みの状態になるということ。そうすれば……君を殺せるってことなんだよ」
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