第二幕その四
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は驚く王様にお顔を向けられて仰いました。『王様の申し出、謹んでお受け致しますわ』と」
「まあ、それはそれは」
女官達は囃し立てるように言った。
「これは全て王様の浮気心を懲らしめる為にお妃様の計画でした。王様は以後お妃様をこれまでより大切になされたというお話です」
「それもこれもヴェールのおかげですね」
「そうです、ヴェールには不思議な魔力が備わっているのですよ」
公女は歌った。
「皆さん、殿方の心を我がものにしたければ」
「ヴェールの魔力を借りるのが一番ですね」
「そういうことです!」
彼女達は歌う。そこにエリザベッタがやって来た。彼女も僧院に参りに来たのだ。
「王妃様!」
皆彼女の姿を見て頭を垂れた。
公女もである。だがその物腰は何処か彼女に対して優位にあるようなものであった。彼女は口元にうっすらと笑みを浮かべていた。
「顔を上げて下さい」
エリザベッタは一同に対して言った。皆それに従い顔を上げる。
「お楽しみのようですね」
彼女は公女と女官達に微笑んで言った。
「はい、歌を歌っておりました」
公女が一同を代表して答えた。
「まあ、どのような歌ですか?」
「スペインの歌です。ヴェールの魔力を歌ったものですよ」
「ああ、あの歌ですね」
ヴェールの歌のことは彼女もよく知っていた。
「恋の魔力ですね」
「そうです」
公女は謹んで申し上げた。
「素晴らしいですね。殿方の御心を再び虜にするなんて」
「殿下には必要のないものかと存じますが。陛下がおられますので」
「はい」
彼女はおもてむきは優雅に微笑んで答えた。だがその内心は別であった。
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