第18話 長門有希のお引越し
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に分けて置く事が可能なのですが、俺にはそんな便利な能力は有りません。
つまり、最悪の場合は、同期した相手と俺の思考の境界線が曖昧になって、ヘタをすると後遺症のようなモノが双方共に残る可能性だって出て来ます。
「故に、ダンダリオンは、俺が相手の思考を読む行為を禁止する、と言う訳やな」
まぁ、俺に説明が出来るのは、この程度のレベルが限度なのですが。コレ以上の説明は、本職のセンセイにでも聞いて貰う必要が有ります。もっとも、そんなセンセイが居るかどうかは知らないけどね。
「では、何故、あなたはわたしの思考が判る」
俺の説明を聞いた有希が、更に質問を続ける。
成るほど。最初からそうだったけど、昨夜からは特に、彼女が何か問い掛けて来る前に、彼女の問いの内容を理解し答えていたような気もしますか。
流石に、そんな事を繰り返していたから、俺にリーディングの技能が有ると思われたとしても不思議では有りませんでしたか。
「それは……。有希との前後の会話の内容。オマエさんの会話の間。表情。雰囲気。仕草。視線。言葉の強弱。これだけの情報が有れば、大体、有希が今、何が話したいのかは、察しが付く」
但し、それだけに頼っているとイタイ目を見る事と成る可能性も有るのですが。
俺に取って、女性が本当の意味で何を考えているのか、など判る訳は有りません。但し、ある程度、理解する事、想像する事ならば可能ですから。
少なくとも、霊道で繋がっている有希が発して居る雰囲気が、冷たくて、哀しい陰の気に彩られた物か、それとも、温かくて、楽しい陽の気かぐらいは簡単に判別が付きますよ。
「了承した」
有希から、普段通りの短い返事で会話の終了が告げられる。しかし、彼女からは、やや明るい雰囲気を感じる事が出来たのですが……。
俺の言葉から俺が感じた事を、彼女も同じように感じ取った、と言う事なのでしょうね。
俺が、言葉数の少ない彼女から情報を得る為に、常に彼女を視線や感知能力を使って情報を収集し続けて居た、と言う当たり前の事実に、ようやく自分自身でも気付いたと言う事を。
それにしても……。俺は、俺の事をやや上目使いに見つめる少女から、少し視線を逸らしながら、
矢張り、一番情報量が多いのは、気を読む事だと確信させられていたのですが。
「そうしたら、最後に、この廊下に人払いの結界を施してから、あの二人を追い掛けるけど、構わないな?」
この場で行う最後の仕事の結界材に、自らの霊気を蓄えながら、自らの右隣に立つ少女にそう問い掛ける俺。
そして、今度は、少女も小さく首肯く事に因って、答えと為したのでした。
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