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ヴァレンタインから一週間
第18話 長門有希のお引越し
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よく判りませんが、カードを作る事については納得出来ました。確か、今までの彼女の記憶の中に俺が登場する事は無かった、と言いましたからね。……有希自身が。それならば、この融合世界は有希の知って居る世界からは、三年前の段階でずれが生じている可能性が有ると言う事です。
 そのずれが生じた融合世界でのタイムパラドックスの扱いが、彼女の暮らして来た世界とは違う可能性も有りますか。

 そもそも、最初の打ち立てが、時間移動と同時に次元移動を行う事に因って、異世界からの来訪者が何等かの呪的な企てを行った結果出来上がった融合世界ですから。
 この今現在、俺と、そして長門有希と言う名前の少女が生きて居る世界は……。

 いや、ただ、もしかすると、未だ完全に違う世界の記憶だと言う保障はないのですが。

 俺は、真っ直ぐに俺の事を見つめる人工生命体の少女と視線を絡めてから数瞬の空白。かなり、陰の方向に向かいつつ有った思考を無理矢理追い出し、そして、彼女に少しの笑い顔を見せる。
 そう。彼女に対してあまり暗い表情は見せたくありませんでしたから。

 今は特に……。

「この貸し出しカードを作ると言う作業が、この世界に置けるタイムパラドックスがどのような扱いと成るのかを確認する作業、……と言う事か」

 そして、普段と変わらない調子で、そう問い掛けた。
 俺の問い掛けに、矢張りまったく遅滞する事などなく、コクリと首肯く事に因って肯定と為す有希。

 成るほど。それならば、

「だとすると、可能性としては、
 1:そもそも、何らかの邪魔が入る事に因って貸し出しカードを作る事が出来ない。
 2:その貸し出しカードを五月に作ると言う記憶の書き換えが行われる。
 3:そもそも、その未来の記憶自体が、既に違う平行世界での出来事と成って居り、問題なく貸し出しカードを作る事が出来る。
 この三つの内のどれかに分類されるかに因って、この世界のタイムパラドックスの扱いが判ると言う事か」

 俺は自らの読んでいた本を、有希の身長よりも遙かに高い位置に戻しながら、そう問い掛けた。
 そんな俺の問い掛けに、微かに首肯いて答える有希。

「俺の想像が正しければ、この世界は俺の暮らして居た世界の直ぐ傍の世界。
 それならば、選択肢の答えは『3』。俺の暮らして居た世界は、未来人に因って歴史を改竄する事は可能な世界やった」

 但し、それが、歴史に悪影響を及ぼす可能性が有るのなら、その範疇には収まりませんが。
 もっとも、所詮は彼女の図書館の貸し出しカードを作る事です。つまり、その事に因って世界の崩壊や人類の滅亡に繋がるとも思えませんから、世界の防衛機構からの介入を招くような事は起きる事などないでしょう。故に、普通に考えるのならば、そのまま問題なく、図
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